◆変形性膝関節症の研究で使う偽薬を比較
研究班は、変形性膝関節症の治療について調べたこれまでの研究149件のデータを統合し、偽薬の飲み薬、偽薬の関節内注射などの偽薬の形態による結果の違いがあるかを調べました。
◆関節内注射のほうが飲み薬よりも効く
次の結果が得られました。
4種類の異なる偽薬ノード(異なるモデル)についてのネットワークメタアナリシスを使った偽薬効果の評価から、関節内偽薬(効果量0.29、95%信用区間0.09-0.49)と局所偽薬(効果量0.20、信用区間0.02-0.38)の効果量が経口偽薬よりも有意に大きいことが示された。
異なる効果を計算に入れたモデルでは、関節内および局所療法が経口治療よりも痛みを減らすことにおいて勝っていた。
偽薬の関節内注射を行ったときに、偽薬の飲み薬を飲むよりも痛みが軽くなっていました。
研究班はこの結果について、「すべての偽薬が同じではなく、一部の偽薬は臨床的意義のある応答を引き起こしうる」と述べています。
偽薬の関節内注射は、治療薬としての有効成分を含まないにもかかわらず、痛みを減らすという結果が示されました。治療として意味があるかは別の判断ですが、偽薬は非常に多くの研究で使われているため、この効果による影響について考えさせられます。
執筆者
Effectiveness and Implications of Alternative Placebo Treatments: A Systematic Review and Network Meta-Analysis of Osteoarthritis Trials.
Ann Intern Med. 2015 Jul 28 [Epub ahead of print]
[PMID: 26215539]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。