2015.08.09 | ニュース

皮下脂肪が多いと脂肪肝が減る?CTでNAFLDの進行/軽減を予測

韓国2千人の観察研究

from Clinical gastroenterology and hepatology : the official clinical practice journal of the American Gastroenterological Association

皮下脂肪が多いと脂肪肝が減る?CTでNAFLDの進行/軽減を予測の写真

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は致命的な肝硬変に進行する恐れがあります。韓国の患者を追跡した研究で、CTで見た内臓脂肪が多いとNAFLDの発症が多く、皮下脂肪が多いとNAFLDが軽減することが多かったことが報告されました。

◆CTを撮った人2千人を追跡

研究班は、NAFLDを診断できる肝臓の超音波検査と、腹部CTの検査を受けた対象者2,017人をおよそ4年間追跡し、その後NAFLDの発症があったか、またNAFLDが軽減することがあったかを調べました。

 

◆内臓脂肪が多いと発症増加、皮下脂肪が多いと軽減増加

解析から次の結果が得られました。

NAFLDを新規発症した288人の症例を得た。うち159人の患者でフォローアップ期間にNAFLDの軽減があった。多変量解析で、内臓脂肪面積の増加はNAFLDの発症率の増加と関連した(内臓脂肪面積が最も大きい五分位群で最も小さい五分位群に対してハザード比2.23、95%信頼区間1.28-3.89、Ptrend=0.002、標準偏差分の変化に対してハザード比1.36、95%信頼区間1.16-1.59)。皮下脂肪面積の増加はNAFLDの軽減と有意に関連した(最も大きい五分位群で最も小さい五分位群に対してハザード比2.30、95%信頼区間1.28-4.12、Ptrend=0.002、標準偏差分の変化に対してハザード比1.36、95%信頼区間1.08-1.72)。

CTで見られた内臓脂肪の量が多かった人は、その後NAFLDを発症する率が高くなっていました。対して、CTで見られた皮下脂肪の量が多かった人は、NAFLDの軽減が見られる率が高くなっていました

 

このような変化がなぜ起こったのかは、NAFLDが発症し進行するしくみと関係しているかもしれません。性別やホルモンの作用、栄養状態などとの関係について、より詳しい検討がなされれば、NAFLDのしくみの解明に結びつくかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Body Fat Distribution and Risk of Incident and Regressed Nonalcoholic Fatty Liver Disease.

Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Jul 27 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26226099]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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