高血圧の薬で10mmHg下げると脳卒中が4割減った

高血圧治療ガイドラインで引用された論文のなかで、2009年に『BMJ』に掲載された、心血管疾患の発生リスクに対する降圧治療の効果を検証した論文を紹介します。収縮期血圧10mmHgの低下で脳卒中が約40%減少したことなどが報告されています。
◆メタアナリシスにより降圧治療の効果を検証
今回の研究では、過去の研究で得られた合計464,164名の対象者についてのデータを統合し、
◆降圧治療は、冠動脈疾患や脳卒中の発生リスクの減少に効果的
調査の結果、以下のことを報告しました。
血圧の差を検証する試験では、βブロッカーが、冠動脈疾患の既往がある人の再発予防に関して、血圧を下げることに加えて特別な効果があり、リスクは他の薬の試験の15%(95%信頼区間11%-19%)減少と比べて、29%(95%信頼区間22%-34%)の減少が認められた。
その他の血圧の差を検証する試験では(冠動脈疾患の既往がある人に対するβブロッカーの試験における冠動脈疾患イベントは除く)、
収縮期血圧 が10mmHgまたは拡張期血圧 が5mmHg減少すると、冠動脈疾患イベントは22%(95%信頼区間17%-27%)、脳卒中は41%(95%信頼区間33%-48%)減少することが示され、コホート研究によるメタアナリシスから同じだけの血圧の差に対して予想された、25%(冠動脈疾患)、36%(脳卒中)の減少と類似し、これらの効果が血圧低下そのものによって説明されることを示していた。
降圧薬によって血圧を下げる治療は冠動脈疾患や脳卒中の発生リスクを減少させ、血圧が下がった幅に対して病気が減る効果の大きさは過去の研究で計算されたものと似通っていました。
ただし、以前に冠動脈疾患が
著者らは、「我々の結果は、[...]ある年齢を超えたすべての人が血圧を下げることの重要性を示した。」と結論付けています。
降圧治療の有効性を検証した論文でした。一般に、検査値によって病気を予測できたとしても、検査値を変えること自体が病気の予防になるとは限りませんが、この結果は、血圧が冠動脈疾患や脳卒中を予測するだけでなく、血圧を下げることでそれらの病気を予防できることを示しています。 高血圧治療に用いる薬については、別の機会に紹介する予定ですので、ご期待ください。
執筆者
Use of blood pressure lowering drugs in the prevention of cardiovascular disease: meta-analysis of 147 randomised trials in the context of expectations from prospective epidemiological studies.
BMJ. 2009 May 19
[PMID: 19454737]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。