2015.08.01 | ニュース

致死性出血熱に新薬、マールブルグ病の生存率を「0%」から「100%」に

サルで実験

from The New England journal of medicine

致死性出血熱に新薬、マールブルグ病の生存率を「0%」から「100%」にの写真

マールブルグ病は、アフリカ大陸のコウモリが持っているウイルスにより、致命的な出血熱が起こる病気で、治療は対症療法にとどまります。新たに開発された治療薬の効果をサルで実験したところ、生存率を100%にする結果が得られました。

◆サルの感染を治療

研究班は、サルにマールブルグウイルスを感染させ、新薬AVI-7288の用量を変えて注射することで、有効な用量を調べました。また、健康な人に用量を少しずつ増やしてAVI-7288を注射することで、安全に使える用量を調べました。

 

◆生存率100%に

次の結果が得られました。

感染した非ヒト類人猿の生存率は用量依存的であり、サルに使用したAVI-7288の用量が体重キログラムあたり0mgで0%、3.75mgで30%、7.5mgで59%、15mgで87%、20mgで100%、30mgで100%だった(群間の生存率比較においてlog-rank検定でP<0.001)。安全性の問題はヒトで16mg/kg/日までの用量に対しては同定されなかった。深刻な有害事象は報告されなかった。

サルはAVI-7288を使わなかったときすべて死亡しましたが、体重1kgあたり20mgまたは30mgのAVI-7288を使ったときはすべて生存しました。健康な人に注射したとき、調べた範囲の用量で深刻な副作用は見られませんでした。

研究班はこの結果から「AVI-7288は人間のマールブルグウイルス感染に対して、ウイルス接触後の発症予防となる可能性がある」と結論しています。

 

動物実験の結果が必ずしも当てはまるとは限りませんが、実際に感染した人を治療する効果が得られれば、画期的な治療になるかもしれません。今後に期待がかかります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

AVI-7288 for Marburg Virus in Nonhuman Primates and Humans.

N Engl J Med. 2015 Jul 23

 

[PMID: 26200980]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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