◆ネリドロネート100mgを4回投与、非投与群と痛みの差を評価
著者らは以下の調査法を用いました。
MRI(核磁気共鳴画像法)で骨髄の病変が見られる変形性膝関節症に罹患し、急性の膝の痛み(3ヶ月未満)がある64人の患者を、無作為にネリドロネート100mgを10日間で4回投与する群と偽薬投与の群にランダムに分けた。50日後患者は診察を受け更にMRIを行った。一次評価項目は視覚的評価スケール(VAS; 数値範囲は0-100)で計測する痛みの変化である。
つまり変形性膝関節症を発症し、痛みがある患者に対してネリドロネート100mgを4回静脈注射しました。50日後にMRIや痛みの調査を行い、ネリドロネート投与群と非投与群に差があるか調べました。
◆ネリドロネート投与した人の8割以上が、4ヶ月経っても鎮痛剤を必要としなかった
著者らは、以下の結果を得ました。
最後の注入日におけるVASの減少は、ネリドロネート投与群で有意に大きかった(59.0(標準偏差14.7)から30.4(標準偏差15.6)、-48.4%、P<0.001)。[...] 処置4ヶ月後では、72%の偽薬投与群が鎮痛剤や抗炎症薬の服用を再開していたのに対し、ネリドロネート投与群では12.9%のみであった。
つまりネリドロネートの注入で、痛みが減りました。4ヶ月後に鎮痛剤や抗炎症薬の服用を再開していた人は、ネリドロネート使用群で少なくなっていました。
著者らは、「急性の痛みが生じる変形性膝関節症患者において、4回のネリドロネート注入は臨床的に有意義な痛みの改善と関連した」と結論づけています。
ネリドロネートを含むビスホスホネート製剤は、骨の新陳代謝において骨を壊す機能を抑えて、骨を増やします。関節炎による骨の破壊を抑えることで痛みに効果があったのかもしれません。
ただこの結果からは、骨が増える事で痛みも消えるのか、他の原因があるのかは不明です。痛みの治療として確立するためには、今後更に研究を積み重ねる必要がありそうです。
執筆者
Intravenous neridronate in the treatment of acute painful knee osteoarthritis: a randomized controlled study.
Rheumatology (Oxford). 2015 May 20.
[PMID: 25998450] http://rheumatology.oxfordjournals.org/content/early/2015/05/19/rheumatology.kev123.abstract
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