2015.07.25 | ニュース

子宮癌の前段階「子宮内膜増殖症」に対して女性ホルモンを放出する子宮内装置が効いた

7件766人のメタアナリシス
from American journal of obstetrics and gynecology
子宮癌の前段階「子宮内膜増殖症」に対して女性ホルモンを放出する子宮内装置が効いたの写真
(C) yershovoleksandr - Fotolia.com

子宮内膜増殖症のうち、細胞の異常(細胞異型)が見られないときの治療として、子宮内に女性ホルモンを少しずつ放出する装置を使ったときの効果をこれまでの研究報告から検証したところ、女性ホルモンの飲み薬よりも子宮摘出術が少なくなっていました。

◆子宮内膜増殖症とは

子宮内膜増殖症は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの働きが過剰であることによって、子宮の内側を覆っている子宮内膜が異常に厚くなってしまった状態です。この状態は不正出血などの症状があるほか、子宮体がんの手前の段階と考えられるため、リスクが高いと見られた場合で妊娠希望がなければ子宮摘出の手術が行われます。

リスクが低いと見られた場合は治療せず定期的な検診で観察することもありますが、原因である女性ホルモンのバランスを変える治療もあります。エストロゲンとは別の女性ホルモンである黄体ホルモンを補充することにより治療効果があると考えられています。

 

◆LNG-IUSを飲み薬と比較

この研究は、子宮内膜増殖症のうちでも比較的リスクが低いとされる、細胞単位での異常(細胞異型)がないものが見つかった人を対象としました。

研究班は、黄体ホルモンの飲み薬である経口プロゲスチンと、治療装置を子宮の中に置いておくことで黄体ホルモンが装置から放出されるようにする、レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS)の治療を比較しました。

それらの効果を調べるため、文献検索により過去の研究を集めて検証を行いました。

 

◆LNG-IUSで子宮摘出術が少ない

次の結果が得られました。

7件のランダム化対照試験(対象者は計766人の女性)が採用された。

LNG-IUSは経口プロゲスチンに比べて高度に有意な治療応答率を[...]示した。

経口プロゲスチンに比べて、LNG-IUSは子宮摘出術を有意に少なくすることを達成した(オッズ比0.26、95%信頼区間0.15-0.45、P<0.00001、研究3件から、I2=42%)。

見つかった7件の研究のうちで、LNG-IUSを使ったときのほうが、飲み薬を使ったときよりも子宮摘出術が少なくなっていました

 

子宮内膜増殖症に対するLNG-IUSの効果が示唆されました。子宮摘出術を含めて発がん予防にどの程度の効果があったか、また子宮摘出術を少なくすることで出産にどの程度貢献したかといった情報が加われば、治療方針を考える助けになるかもしれません。

なお、LNG-IUSはほかの目的でも使われます。過多月経の治療として使ったときについての研究を紹介していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。

過多月経の治療、一長一短」

http://medley.life/news/item/5555c33547b5c92d01fc7d6a

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Levonorgestrel-releasing intrauterine system vs oral progestins for non-atypical endometrial hyperplasia: a systematic review and metaanalysis of randomized trials.

Am J Obstet Gynecol. 2015 Mar 19 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 25797236]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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