腱鞘炎の痛みには、注射と親指の固定の組み合わせがより効果的
腱鞘炎は、腱の浮き上がりを抑える腱鞘というトンネルと腱の間に炎症が起き、物を掴んだり握ったりすると手首に強く痛みを感じる病気です。今回の研究は、腱鞘炎のなかでも、ドゥケルヴァン病(狭窄性腱鞘炎)という病気に対して、炎症を抑える注射と親指固定を組み合わせて行うと、注射のみ行うよりも痛みの改善に効果的であったという結果を報告しました。
◆注射と親指の固定の組み合わせ群と注射のみの群に振り分け
今回の研究は、以下の方法で実施しました。
前向き研究で、ドゥケルヴァン腱滑膜炎の適格患者67名をランダムに、
副腎皮質ステロイド 注射と母指スパイカ固定の組み合わせ群(33例)と注射のみの群(34例)に振り分けた。すべての患者が、痛みをもっとも感じる場所の第一背側区画に、1ccのリドカイン2%とメチルプレドニゾロン酢酸塩40mgの注射を受けた。
◆注射と親指の固定の組み合わせの方が約24%の治療成功率が高かった
調査の結果、以下のことを報告しました。
Visual analog scaleとQuick Disabilities of the Arm, Shoulder, and Hand scoreは治療前両群間は類似していた。
治療成功率は、注射と親指のスパイカ固定の群で93%、注射のみの群で69%であった。
両群ともに痛みと機能面の点で、患者の状態を
有意 に改善したが、治療成功率は有意に注射と親指のスパイカ固定の群で高かった。
注射と親指の固定を組み合わせた方が、より痛み、機能面に対する治療成功率が高いという結果でした。
組み合わせることで相乗効果が見られるのであれば、検討の余地は十分にありそうです。さらなる検証に期待したいですね。
執筆者
Corticosteroid injection with or without thumb spica cast for de Quervain tenosynovitis.
J Hand Surg Am. 2014 Jan
[PMID: 24315492]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。