小学生に料理とガーデニングを教えるとメタボが減った
肥満はメタボリックシンドロームの要素であり、将来の脳卒中や虚血性心疾患のリスクを増やすと考えられています。対策には食習慣の改善が重要とされますが、食習慣は簡単には変わらない面もあります。ロサンゼルスで、小学生に料理とガーデニングの授業を行ったところ、行わない場合に比べてメタボリックシンドロームが少なくなるという結果が出ました。
◆2校ずつの比較
研究班は、12週間のうちに毎週ガーデニングと料理の授業をするプログラム「LA Sprouts」の効果を調べるため、研究に参加したロサンゼルスの4校の小学校のうち、ランダムに選んだ2校(対象学年の人数計172人)でLA Sproutsプログラムを行い、2校(対象学年の人数計147人)を対照としました。
◆BMI減少、食物繊維摂取量増加
次の結果が得られました。
LA Sproutsの参加者は、
BMI のz値(0.1ポイントの減少、対照群では0.04ポイントの減少、P=0.01)、腹囲(-1.2cm、対照群では変化なし、P<0.001)に有意 に大きい減少があった。LA Sproutsの参加者には、プログラムの前と比べて後でメタボリックシンドロームの数が少なくなり、対照群ではメタボリックシンドロームが増えていた。LA Sproutsの参加者は、食物繊維の摂取量の改善(3.5%増加、対照群では15.5%減少、P=0.04)、野菜の摂取量のより小幅の減少(3.6%減少、対照群では26.4%減少、P=0.04)を示した。
LA Sproutsに参加した子どもでは、参加しなかった子どもに比べてBMIが年齢平均に対して小さく、腹囲が小さく、メタボリックシンドロームの数が少なくなりました。また、食物繊維をより多く摂るようになり、野菜の摂取量は減りましたが、減少幅はLA Sproutsに参加しなかった子どもに比べて小さくなっていました。
ガーデニングで野菜が好きになったり、料理をすることで食べ物について考えるようになったのでしょうか。正確にどう効いたのかはわかりませんが、この2校では全体として効果があったようです。人種や社会背景が違うほかの地域でも効果があるかどうかも見てみたくなる、面白い試みです。
執筆者
LA sprouts randomized controlled nutrition and gardening program reduces obesity and metabolic risk in latino youth.
Obesity (Silver Spring). 2015 Jun
[PMID: 25960146]
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