ナガイモの成分が抗がん剤の副作用を和らげる?抗がん剤ドキソルビシンの心毒性に対して

ドキソルビシンという抗がん剤の副作用に、心臓に対する毒性があり、悪性リンパ腫などの化学療法でドキソルビシンを使うときには注意が必要になります。台湾の研究班が、ドキソルビシンが細胞に酸化ストレスを与えることに注目し、抗酸化作用があるとされるナガイモの成分で心毒性を抑える治療をマウスで実験した結果、ドキソルビシンを単独で使ったときよりも心臓のダメージが抑えられたことを報告しました。
◆マウスにドキソルビシン+ジオスゲニン
研究班は、ナガイモの成分であるジオスゲニンがドキソルビシン(アドリアマイシン)の心毒性を抑える効果をマウスで調べました。
マウスを3グループに分け、1グループを対照とし、ほかの2グループにはドキソルビシンを、そのうち一方には同時にジオスゲニンを与えて、心臓に起こる変化を比べました。
◆心臓に対する影響を小さく
それぞれのマウスに次の結果が見られました(数値は平均±標準偏差)。
- 血圧(mmHg)
- 対照:98.08 ± 11.40
- ドキソルビシンのみ:119.93 ± 26.25
- ドキソルビシン+ジオスゲニン:98.88 ± 15.49
- 血清
LDH (U/L)- 対照:173.02 ± 8.70
- ドキソルビシンのみ:263.91 ± 54.35
- ドキソルビシン+ジオスゲニン:152.13 ± 29.25
LDHは心臓の壁(心筋)に多く含まれている物質で、心臓の細胞が傷ついたときには高い値になります。上のように、ドキソルビシンのみを与えたマウスでは血圧、LDHともに上昇していましたが、ドキソルビシンとジオスゲニンを与えたマウスではどちらも上昇が見られませんでした。
研究班は、「このデータはジオスゲニンが抗酸化作用[...]を有し、結果としてドキソルビシンに誘発された心毒性から心臓を保護することを暗示する」と結論しています。
ここで報告された変化が、
執筆者
In Vivo Protective Effects of Diosgenin against Doxorubicin-Induced Cardiotoxicity.
Nutrients. 2015 Jun 17
[PMID: 26091236]
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