2015.06.20 | ニュース

心肺蘇生をすると生存率は2倍に

スウェーデン3万人の比較

from The New England journal of medicine

心肺蘇生をすると生存率は2倍にの写真

心室細動などで突然心臓が止まってしまった人が助かるためには、心臓マッサージと人工呼吸による「心肺蘇生」が非常に重要と考えられています。スウェーデンで、病院の外で心停止した人約3万人分の経過を集計したところ、救急車などが到着する前に心肺蘇生が行われていた場合、30日後まで生存する割合が2倍以上になっていました。

◆1990年から2011年に見つかった3万人

研究班は、次の対象者を調べました。

スウェーデンで1990年1月1日から2011年12月31日までに病院外で心停止しているのを発見された、計30,381人の人について、救急医療班が到着する前に心肺蘇生が行われたかどうか、また早期の心肺蘇生が生存率と相関するかを解析した。

1990年から2011年までの間に心停止しているところが見つかった約3万人を対象として、救急車などが到着する前に心肺蘇生が行われたかどうかと、生存率に関係があるかどうかを調べました。

 

◆30日生存率が4%から10%に

次の結果が得られました。

15,512人(51.1%)に対して、救急医療班が到着する前に心肺蘇生が行われていたが、14,869人(48.9%)はそうではなかった。30日生存率は救急医療班到着前に心肺蘇生が行われた場合に10.5%、そうでない場合には4.0%だった(P<0.001)。

およそ半数が、救急車などの到着よりも前に心肺蘇生を行われ、そのうち心停止から30日後まで生存していた割合は10.5%と、救急車などの到着よりも前に心肺蘇生が行われなかった場合の4.0%に比べて高くなっていました

研究班は「救急医療班到着前の心肺蘇生は、病院外の心停止後の30日生存率を、救急医療班到着前に心肺蘇生がなされなかった場合の2倍以上に高くすることと関連していた」とまとめています。

 

心室細動などがいつ起こるかは予測できません。心肺蘇生の重要さを思い出させる結果です。

なお、同じスウェーデンで、心肺蘇生がよりよく行われるようにする試みがなされました。その報告もぜひあわせてご覧ください。

『「近くに倒れた人がいます」心肺蘇生法ができる人に通知』

http://medley.life/news/item/557d0d1c7c68214301d53307

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Early cardiopulmonary resuscitation in out-of-hospital cardiac arrest.

N Engl J Med. 2015 Jun 11

 

[PMID: 26061835]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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