2015.06.15 | ニュース

「近くに倒れた人がいます」心肺蘇生法ができる人に通知

ストックホルムで1万人のボランティアが参加

from The New England journal of medicine

「近くに倒れた人がいます」心肺蘇生法ができる人に通知の写真

心室細動などで突然心臓が止まってしまったとき、近くにいる人が素早く心臓マッサージと人工呼吸による「心肺蘇生」を始めることが、救命のために非常に重要です。スウェーデンで、携帯電話の位置情報サービスを利用して、訓練されたボランティアが倒れた人のもとに駆け付けるシステムを作ったところ、素早く心肺蘇生が始められる割合が増えたことが報告されました。

◆携帯電話の位置情報をもとに緊急連絡

研究班は、心肺蘇生の訓練を受けた非専門家のボランティアを募り、携帯電話の位置情報を利用して、病院以外で心停止した患者のもとに救急車などが呼ばれたときに、患者から500m以内にいたボランティアの人に助けに向かってもらうシステムを作りました。

ボランティアを呼び出す場合と呼び出さない場合をランダムに振り分け、それぞれの場合で救急車などが到着する前に心肺蘇生が行われたかどうかを比較しました。

 

◆1万人のボランティア

次の結果が得られました。

心肺蘇生の訓練を受けた非専門家のボランティアが、研究開始時に5,989人採用され、研究中に9,828人が集まった。携帯電話位置情報システムは667件の病院外心停止に際して作動し、うち介入群が46%(306人の患者)、対照群が54%(361人の患者)だった。近くにいた人が心肺蘇生を始めたのは介入群の62%(305人中188人)、対照群の48%(360人中172人)だった[...]。

プログラムに参加したボランティアは2012年4月の研究開始時に約6千人、2013年12月の研究終了時には約1万人になっていました。ボランティアを呼び出さなかった場合には48%で、救急車などが到着する前に心肺蘇生が始められていましたが、呼び出した場合には62%に増えていました

 

心肺蘇生の講習はさまざまな機関が行っていますが、いざというときに運良く訓練された人が助けに入れるとは限りません。情報技術がカバーすることで、助かる人が増えるといいですね。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Mobile-phone dispatch of laypersons for CPR in out-of-hospital cardiac arrest.

N Engl J Med. 2015 Jun 11

 

[PMID: 26061836]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る