◆ARDS後28日の死亡率を比較
研究班は、手術後の敗血症によるARDSを起こした患者の情報を追跡調査し、ARDS発症後28日までの死亡率などがスタチン使用によって違うかどうかを調べました。
◆重症例のみ生存率改善
調査から次の結果が得られました。
敗血症関連ARDSの患者404人がこの調査に登録された。ARDSのうち13%は軽症、59%が中等度、28%が重症だった。スタチン治療は重症ARDS患者に限って、スタチン治療を受けていなかった患者に比べて28日生存率を改善した(88.5%対62.5%、P=0.0193)。
対象となった404人のARDS患者のうち、ARDSが重症だった人にだけ、スタチン使用による違いがあり、スタチンを使っていない人では28日生存率が62.5%だったのに対して、スタチンを使っていた人では28日生存率が88.5%でした。
研究班は「この調査は重度の敗血症関連ARDS患者にスタチン治療歴がある場合、スタチン治療を続けることによる良い効果を示唆する」と結論しています。
スタチンには血液のコレステロールや中性脂肪を減らす以外の影響も指摘されています。この研究で報告されたように、もし重症ARDS患者に良い効果があるなら、ARDSの治療としてスタチンの効果が検討されてよいかもしれません。
なお、MEDLEYニュースでは以前にもスタチンについての研究を紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。
高脂血症の薬でインスリンが減る?
http://medley.life/news/item/553a2b1ea263820301d8eb8b
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http://medley.life/news/item/553f35f5f1f509960017350a
執筆者
Impact of statin therapy on mortality in patients with sepsis-associated acute respiratory distress syndrome(ARDS) depends on ARDS severity: a prospective observational cohort study.
BMC Med. 2015 Jun 1 [Epub ahead of print]
[PMID: 26033076]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。