◆集団認知行動療法を行う群と対照群に分類
今回の調査は、腰痛症を患った亜急性期または慢性期の成人701例を対象に、以下の方法で行われました。
すべての対象者は、事前に疼痛治療に関するアドバイス(動くことの重要性や方法、ベッド上安静を避けること、疼痛治療の適切性、症状管理)を受けた。
対象者は、1回1.5時間、6セッションの集団認知行動療法群(N=468)または治療なし群(N=233)にランダムに振り分けられた。
1年後のRoland Morris disability questionnaireとmodified Von Korff scoresの改善度合いを比較した。
認知行動療法は、Back Skills Trainingという、リラクセーション方法や痛みが出現したときの対処法などを含むプログラムが実施されました。
効果の指標は、痛みの程度や、腰痛により日常生活にどの程度不便さがあるかを見る評価基準を用いました。
◆集団認知行動療法により痛みや日常生活の動作能力が改善
調査の結果、以下のことが報告されました。
介入後1年の時点で、Roland Morris questionnaire scoreは、治療なし群で1.1ポイント(95%信頼区間0.39-1.72)、集団認知行動療法群2.4ポイント(95%信頼区間1.89-2.84)の改善が見られた(群間の差1.3ポイント、95%信頼区間0.56-2.06、p=0.0008)。
modified Von Korff scoresによる痛みの評価は、治療なし群で6.4%(95%信頼区間3.14-9.66)、集団認知行動療法群13.4%(95%信頼区間10.77-15.96)の改善が見られた(群間の差7.0%、95%信頼区間3.12-10.81、p<0.0001)。
つまり、集団認知行動療法を行うことで、腰痛の程度や腰痛により障害されていた日常生活動作が統計的に有意に改善するという結果でした。
筆者らは、「集団認知行動療法により、腰痛に対する持続的な効果が認められた」とまとめています。
腰痛で病院にかかると、コルセットや薬を渡されて終わり、という経験をしたことがある人も多いかもしれません。今回の結果だけではほかの治療法と比べてどの点が優れているか確定的ではありませんが、いずれ腰痛の標準的なケアのひとつとして、認知行動療法が検討されることがあるかもしれませんね。
執筆者
Group cognitive behavioural treatment for low-back pain in primary care: a randomised controlled trial and cost-effectiveness analysis.
Lancet. 2010 Mar 13
[PMID: 20189241]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。