2020.11.11 | コラム

子どもの高熱に市販の解熱剤はちょっと待って!〔アスピリンシリーズ②〕

インフルエンザの発熱時には避けたい解熱剤の成分

子どもの高熱に市販の解熱剤はちょっと待って!〔アスピリンシリーズ②〕の写真

毎年、秋〜初春にかけて脅威となるインフルエンザ。高熱が出ることも多く、年齢問わず辛い症状が続く場合もあります。最近は新しいタイプの抗ウイルス薬も開発されていますが、そうはいっても高熱を和らげてくれる「解熱剤」は必須ともいえます。しかし「解熱剤」の種類によってはインフルエンザの発熱に"不向き"なものもあるようで・・・。(なお、本記事に登場する薬剤に関して、株式会社メドレーは特定の製薬企業やその関係団体との利害関係はありません)

◆インフルエンザかもしれないと思った時の解熱剤は?

解熱剤(解熱鎮痛薬)というと真っ先に・・・ではないかもしれませんが、候補として出てくるいくつかの成分の中にアスピリン(正式な成分名はアセチルサリチル酸)があるのではないでしょうか?

アスピリンは市販薬でも「バファリンA」などの商品名で販売されており、常備薬として長年使っている人も多いため比較的馴染みがある薬といえます。

しかし、普段であれば発熱や痛みに対して心強い味方になってくれるアスピリンが、インフルエンザの時では一転、悪者になる可能性があるということをご存知でしょうか?

アスピリンやエテンザミド等のサリチル酸系とよばれている薬剤成分のほか、メフェナム酸やジクロフェナクナトリウムといった解熱鎮痛薬をインフルエンザや水痘などの発熱時に使用すると、インフルエンザ脳炎・脳症やライ症候群といったものへの危険性が高くなると言われています。

原則として「小児へのアスピリン投与は禁止(川崎病などの医療機関における治療への使用は除く)」とされていますが、高熱を下げたいが為に自宅にあるアスピリン製剤を服用してしまう可能性もゼロではありませんし、先に挙げた脳症などは大人でも発症する可能性があるとされる為、注意すべきです。

日本ではインフルエンザにおける発熱への解熱剤としてアセトアミノフェンが推奨されています。アセトアミノフェンを含む製剤は市販薬としても販売されており、同じバファリンの名前を持っていても「小児用バファリンCⅡ」などの商品は主成分がアセトアミノフェンで造られています。また、成人(大人)用であれば「タイレノールA」などが有効成分としてアセトアミノフェンを単独で含む商品として発売されています。(なお、市販の解熱鎮痛薬には「ACE処方」といって、A:アセトアミノフェン、C:カフェイン、E:エテンザミドの3成分を組み合わせた商品がいくつか発売されていますが、この商品にはエテンザミドが含まれるため、インフルエンザ脳症等への注意が必要になります。)

高熱が出た時、インフルエンザに感染した可能性がある時などの解熱剤の服用は注意が必要であることを覚えておき、服用・購入の際には是非とも医師や薬剤師に相談した上、早めの医療機関への受診も考慮しましょう。

 

参考情報:本文中に登場した薬については、こちらのページに詳しい情報を掲載しています

 

*2015/06/25配信の記事を更新しました

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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