2015.05.27 | ニュース

睡眠不足は糖尿病を招く可能性がある?

米研究チームが健常男性に対して介入研究を実施

from Diabetologia

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睡眠不足は2型糖尿病リスクの増加と関連していることが知られています。しかし、そのメカニズムはまだ知られていません。今回の研究では、健康な若年男性19人を対象に、睡眠不足の状態と通常の睡眠時間の状態をどちらも経験してもらい、その後24時間の血液サンプルを比較しました。その結果、「睡眠不足だと、夜間の血中脂肪酸値が上昇し、インスリン感受性が低下する」ということが報告されました。

◆“睡眠不足の状態”と“通常の状態”の両方を順番に経験

米研究チームは、19名の若年男性を対象に、以下の方法で睡眠不足によるインスリン抵抗性増加のメカニズムを検証しました。

19名の若年男性は、研究室による管理下において4日間連続で、8.5時間の就床(通常の睡眠状態)と4.5時間の就床(睡眠不足の状態)をランダムに経験した。

24時間の経時的な血中脂肪酸値、成長ホルモン、ノルアドレナリン、コルチゾール、グルコース、インスリンを同時に測定した。

インスリン感受性は、静脈グルコース耐性試験で評価した。

今回の研究は、睡眠不足とインスリン抵抗性のメカニズムを検証するために、時間を追って血液検査を繰り返し行い、血液検査値にどのような変化が起きているかを検証しています。

 

◆インスリン抵抗性には、血中脂肪酸値が関係している可能性

調査の結果、以下のことが報告されました。

睡眠不足の状態は、通常の睡眠時間と比較して、夜間および早朝の血中脂肪酸値を増加させた。

血中脂肪酸の増加は、夜間の成長ホルモン分泌と早朝のノルアドレナリン値が高くなる状態が長くなることに関係していた。

インスリン感受性は、睡眠不足後に減少し、その減少は夜間の血中脂肪酸値の上昇と関連していた。

このように、インスリン感受性の低下は、夜間および早朝の血中脂肪酸値の上昇と関連し、それには睡眠不足が関わる可能性があることがわかりました。

筆者らは、「若年男性の睡眠不足は夜間と早朝の血中脂肪酸値を上昇させ、それはインスリン抵抗性や2型糖尿病リスクの増大に部分的に寄与している可能性がある」と述べています。

 

今回の研究から、睡眠不足と糖尿病の関連について、メカニズムの一部が解明されました。このメカニズムに対して、新薬が開発されることで、もしかしたら睡眠不足による糖尿病発症を防げるかもしれません…が、睡眠不足は、糖尿病以外にもカラダへの負担が大きいことが言われていますので、やはりしっかりと睡眠時間をとりたいものです。

執筆者

MT

参考文献

Sleep restriction increases free fatty acids in healthy men.

Diabetologia. 2015 Apr

[PMID: 25702040]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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