◆大規模な国際協同プロジェクトの集団調査データを利用
乳がんとエストロゲンの関連性はこれまでの報告でも指摘されてきましたが、多くの研究の対象は女性で、男性のエストロゲンと乳がん発症の関連は明らかになっていませんでした。
今回の調査では、大規模な国際研究で得られた参加者のデータを利用し、乳がんを発症した男性101人の症例と、発症していない健康な男性217人を対照とした血液サンプルデータの解析を行いました。
◆エストロゲン濃度が高い男性で乳がんが多かった
調査の結果、エストロゲンの一種であるエストラジオールの血中濃度と乳がんの発症リスクとのあいだに、以下の関連性が見られました。
血中エストラジオール濃度の値が上位25%の男性群は下位25%の男性群に比べて、乳がんの発症がオッズ比で2.47倍 (95% CI, 1.10 to 5.58)多かった(トレンドに対してP=0.06)。
対象となった男性のうち、エストラジオールの濃度が上位1/4のグループでは、下位1/4のグループよりも多く乳がんが発症していました。
男性の乳がんは女性を含めた全ての乳がんの1%未満という非常にまれな疾患です。どこまで女性の乳がんと同様に考えることができるのか、まだわかっていないことも多いようです。
執筆者
Prediagnostic Sex Steroid Hormones in Relation to Male Breast Cancer Risk.
J Clin Oncol. 2015 May 11
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