2015.05.11 | ニュース

薬を打って、光を当てると、がん細胞が死んだ!

光免疫療法でマウスを治療
from Nature medicine
薬を打って、光を当てると、がん細胞が死んだ!の写真
(C) Sven Hoppe - Fotolia.com

がんの新しい治療法として、最近「光免疫療法」という技術が報道されました。感光物質と結合した抗体をがん細胞に結合させ、光を当てるとがん細胞が死滅するというものです。代表的な治療法のどれとも違う原理で治療を目指し、それも開発したのが日本人らのグループということで話題になりました。2011年にNature Medicineに掲載され、この技術がマウスの実験で成功を収めたことを報告した論文を紹介します。

◆抗体と感光物質を結合させる

免疫療法は、がん細胞だけが多く持っている物質を狙う「分子標的治療」と呼ばれる治療法の1つにあたります。この研究では、がん細胞の細胞膜上にある「上皮性成長因子」という物質に対する抗体が使われました。

また、「近赤外光」という、可視光と赤外線の中間の波長を持ち、人体の組織を通り抜けて体内にまで届く光に反応する「IR700」という物質が使われました。

上皮性成長因子の抗体とIR700を結合させてできた「mAb-IR700」が治療薬として試されました。

 

◆細胞レベルの実験でも、生体の実験でも効果あり

研究グループはmAb-IR700の効果を確かめるために、まず細胞レベルの実験を、次いでマウスを使った生体の実験を行いました。

mAb-IR700が結合した標的細胞に近赤外光を照射すると、即座に細胞死が引き起こされた。

このように、mAb-IR700が狙った細胞だけを攻撃できることが確かめられました。

次に、生体内でも同様の効果があるかどうかを確かめる動物実験が行われました。

我々は、1匹のマウスの背中にA431(HER1陽性)腫瘍と3T3/HER2(HER1陰性)腫瘍が移植された異種移植腫瘍モデルを作成した。

生体内でも、上皮性成長因子を発現している標的細胞に近赤外光を照射すると腫瘍が小さくなることが観察された。

このように、マウスに人のがん細胞を移植して、mAb-IR700を注射したうえ近赤外光を照射することで、がんを小さくすることに成功しました。

 

新しい原理に挑戦する光免疫療法が実際に使えるものかどうかは、いままさに試されようとしています。今後の臨床試験の報告に期待がかかります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Cancer cell-selective in vivo near infrared photoimmunotherapy targeting specific membrane molecules.

Nat Med. 2011 Nov 6

[PMID: 22057348]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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