抗菌薬が効かないはずの細菌に、やっぱり抗菌薬が効いた

抗菌薬の不適切な使用によって、細菌が耐性化という変化を起こし、抗菌薬が効かなくなってしまうことがあります。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)はその代表的なものです。MRSA感染症の治療にどんな薬を使うかがよく議論されますが、アメリカの研究班が、皮膚の感染症に対して、代表的な2種類の抗菌薬のどちらを使っても、MRSA感染症を含む多くの場合に有効だったという研究結果を報告しました。
◆524人をランダム化して抗菌薬で治療
研究班は、「蜂窩織炎または5cmより大きい(子どもの場合はより小さい)
対象者をランダムに、
どちらのグループでも、割り当てた抗菌薬で10日間治療し、「治療終了後7日から10日での臨床的
◆167人にMRSA、治療効果に差なし
対象者の一部からは、感染していたとみられる
2種類の抗菌薬の治療成績として、「クリンダマイシンのグループでは80.3%が、ST合剤のグループでは77.7%が」完治し、完治の割合には統計的に
対象者のうちで大人と子どもを分けて集計しても、蜂窩織炎患者と膿瘍患者を分けて集計しても、やはり完治の割合には差がありませんでした。副作用が現れた割合にも差がありませんでした。
30%以上にMRSAがいる集団で、2種類の抗菌薬が同程度に有効だったというこの結果は、細菌が常に新しく
執筆者
Clindamycin versus trimethoprim-sulfamethoxazole for uncomplicated skin infections.
N Engl J Med. 2015 Mar 19
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。