◆細菌の特性を手がかりに
研究チームはサルモネラ菌の仲間のネズミチフス菌という細菌ががんに集まること、またがんを壊す働きがあることに注目し、ネズミチフス菌の突然変異株で食中毒のような病気を起こしにくくなったものから、治療に適したものを探しました。
◆治療に向けて細菌を作り変えていく
比較の結果、特にがんに集まりやすく、毒性の弱い株が見つかりましたが、ネズミチフス菌がもともと持っている働きでがんを壊す効果は小さいことがわかりました。
効果を強くするため、遺伝子組み替えを試したところ、よりバランスよく毒性を弱め、がんに対して有効な株を作ることに成功しました。研究チームは、細菌の働きを強くする方法のほか、「細菌に抗がん剤を運ばせる治療方法も考えられる」と述べています。
細菌を使った治療という意外な発想が、いつか実際に使われる技術を産み出すのかもしれません。がん治療の最前線の専門家の方々は、今回の報告のような新たながん治療にどのような期待をされるのでしょうか?
執筆者
Efficiency of Conditionally Attenuated Salmonella enterica Serovar Typhimurium in Bacterium-Mediated Tumor Therapy.
mBio. 2015 Apr 14
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。