子どもの感染症、注射の代わりに飲み薬でも治せる?

WHOは、生後59日までの子どもが重い細菌感染症にかかったときは入院を勧めています。しかし、世界全体でみれば、さまざまな理由で入院が難しい場合もあります。重い細菌感染症の治療には抗菌薬の点滴がよく使われますが、代わりに飲み薬で治療することはできないのでしょうか。国際チームによる研究で、アモキシシリンという抗菌薬の内服が、他の抗菌薬の点滴と同じぐらい効くことが確かめられました。
◆アフリカ3か国の2,333人の子どもを治療
研究は2011年から2013年にわたって、コンゴ民主共和国、ケニア、ナイジェリアの5か所の拠点で、周りのコミュニティで産まれたすべての子どもをフォローし、病気になった生後59日までの子どものうち「呼吸が速い」という症状だけがあり、親が入院に同意しなかった場合の2,333人を対象にしました。
対象者は2つのグループに分けられ、一方は一般的な治療であるペニシリン系
◆点滴と飲み薬に同程度の効果
7日間の治療の間、症状がなくならない、再発したなどの治療失敗の割合は点滴を受けた子どもの22%、飲み薬を飲んだ子どもの19%で、統計的に
点滴の代わりに飲み薬で治療できることの価値は大きいかもしれません。点滴には入院が必要で、多くの訓練されたスタッフが関わらなければならないため、世界には点滴治療を簡単に受けられない地域もまだまだあります。
有効な飲み薬があれば、多くの子どもの命を救う可能性も考えられるでしょう。アモキシシリンにはどんな使い方が期待できるでしょうか?
執筆者
Oral amoxicillin compared with injectable procaine benzylpenicillin plus gentamicin for treatment of neonates and young infants with fast breathing when referral is not possible: a randomised, open-label, equivalence trial.
Lancet. 2015 Apr 1
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。