ホルモン補充療法は卵巣がんの発症リスクを高めることが判明

閉経前後の女性は女性ホルモンが足りなくなり、更年期障害を引き起こすことがあります。 その更年期障害の主な治療であるホルモン補充療法は、以前より卵巣がんとの関係が指摘されてきましたが、エビデンスがなく信憑性が低いものとして捉えられていました。 今回、英国オックスフォード大学の研究グループは閉経後にホルモン補充療法を受けると短期の治療期間であっても卵巣がんになるリスクが高まることを報告しました。
◆52件の疫学研究の患者データベースから調査
研究グループは52件の疫学研究から参加者の情報を調査し、治療開始してから最長4年間にわたって
◆治療期間を問わず卵巣がんになりやすい
さらに治療期間が5年未満であっても治療を受けている女性は卵巣がんになるリスクが1.43倍高く、5年以内に治療を中止した女性においても1.37倍リスクが高くなることが判明しました。
また、卵巣がんの4つのタイプそれぞれで発症リスクがさまざまでしたが、主要である漿液性の卵巣がんと類内膜性の
ホルモン補充療法の使用を止めてから長い期間が経つにつれ、リスクは低下する傾向にありますが、治療を止め10年経過しても漿液性または類内膜
研究グループはホルモン補充療法と卵巣がん発症には何かしら因果関係があるかもしれないと述べており、もし因果関係があるとすれば、今回の結果から推測すると50歳頃から5年間治療を受けた場合、卵巣がんが1,000人に1人増え、卵巣がんよる死亡数も1,700人に1人多くなることになると指摘しています。
今回の研究結果からホルモン補充療法が卵巣がんを引き起こす可能性があることが示唆されました。
しかし、今回の研究ではホルモン治療剤の存在を考慮してしていない点や、日本においても同様の調査結果が得られるか判らないなど、まだまだ不明な点が多く、今後の追加研究を待ちたいところです。
執筆者
Collaborative Group On Epidemiological Studies Of Ovarian Cancer.,
Lancet. 2015 Feb 12.
[PMID: 25684585] http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25684585※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。