ウステキヌマブ(ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体)
免疫反応などに深く関わるインターロイキン(IL)のIL-12とIL-23に結合し、これらの物質の働きを阻害することで、自己免疫が病態に深く関わる乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎などの症状を改善する薬

ウステキヌマブ(ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体)の解説

ウステキヌマブ(ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体)の効果と作用機序

ウステキヌマブ(ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体)の薬理作用

乾癬は慢性の炎症疾患で厚い白色(銀白色)の鱗屑を伴う紅斑が特徴で原因の詳細は解明されていないが、免疫異常であったり、乾癬になりやすい遺伝子を持った人がストレスなどにさらされることで起こると考えられている。乾癬の多くは尋常性乾癬だが、関節に炎症・こわばりなどがみられる関節症性乾癬(乾癬性関節炎)などがあらわれる場合もある。

潰瘍性大腸炎クローン病は腸などに炎症がおこることでびらんや潰瘍ができる炎症性腸疾患(IBD)のひとつで、その発症には自己免疫が深く関わるとされている。潰瘍性大腸炎は、主に大腸の粘膜に炎症がおき、主に下痢や腹痛などの消化器症状があらわれる。クローン病は、免疫の異常な反応が腸だけでなく他の部位でもおこることで消化器症状だけでなく関節炎、目の炎症、皮膚病変などを合併することもある。

表皮細胞の異常増殖亢進を特徴とする乾癬の病態には、免疫細胞のひとつであるリンパ球T細胞が重要な役割を担っているとされている。T細胞の中でも特にヘルパーT細胞1(Th1)とヘルパーT細胞17(Th17)の関与が重要とされていて、それぞれCD4陽性ナイーブT細胞から分化誘導され活性化される。体内ではインターロイキン(IL)という免疫反応や炎症反応などに深く関わる物質が産生されるが、CD4陽性ナイーブT細胞からTh1への分化にはインターロイキン12(IL-12)が関与し、インターロイキン23(IL-23)はTh17の活性化を促すとされる。

IL-12やIL-23は乾癬以外の自己免疫が関わる疾患にも深く関与する物質で、潰瘍性大腸炎やクローン病では腸の抗原提示細胞によるIL-12やIL-23の分泌が増加することで、TNF(Tumor Necrosis Factor:腫瘍壊死因子)という炎症の悪化や組織の障害などを引き起こす物質の産生を促進し、病態変動などに深く関わるとされている。

本剤はヒトIL-12及びIL-23に共通する構成タンパクであるp40に結合することで、IL-12やIL-23がそれぞれの受容体へ結合するのを阻害し、CD4陽性ナイーブ細胞からTh1への分化やTh17の分化活性化を抑える作用をあらわす。これらの作用により、乾癬やクローン病などの症状を改善する効果が期待できる。

なお、本剤は、特定物質に結合する抗体として造られたモノクローナル抗体の製剤となる。

ウステキヌマブ(ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体)の主な副作用や注意点

  • 感染症
    • ウイルス細菌などによる鼻咽頭炎などの感染症があらわれることがあり、場合によっては重篤な感染症を引き起こす可能性もある
  • 精神神経系症状
    • 頭痛、めまいなどがあらわれる場合がある
  • 皮膚症状
    • 蕁麻疹、痒み、発疹などがあらわれる場合がある
  • 消化器症状
    • 下痢、吐き気などがあらわれる場合がある

ウステキヌマブ(ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体)の一般的な商品とその特徴

ステラーラ

  • ウステキヌマブ製剤
    • 剤形(剤型)に静注製剤と皮下注製剤がある