ARB・カルシウム拮抗薬・利尿薬配合剤の解説
ARB・カルシウム拮抗薬・利尿薬配合剤の効果と作用機序
- アンジオテンシンII受容体拮抗作用、カルシウム(Ca)チャネル阻害作用、利尿作用により降圧作用などをあらわす薬
- アンジオテンシンIIは血管収縮作用、心臓の肥大化作用、腎臓の
線維化 促進作用などをあらわす体内物質で血圧上昇の因子となる - Caイオンが通り道であるCaチャネルから血管
平滑筋 細胞内へ流入すると血管が収縮し血圧が上昇する - 体内の過剰な水分貯留は血液量を増やす要因にもなり、血液量が増えると血圧が上昇する
- 本剤はアンジオテンシンIIの作用を阻害するARB、Caチャネル阻害作用をあらわすカルシウム拮抗薬、降圧・利尿作用をあらわすサイアザイド系利尿薬の3成分の配合剤
- アンジオテンシンIIは血管収縮作用、心臓の肥大化作用、腎臓の
ARB・カルシウム拮抗薬・利尿薬配合剤の薬理作用
高血圧は血圧が高い状態が続き、脳卒中、心疾患、腎疾患など生命に関わる様々な病気の温床となる。
体内に血圧を上昇させる因子となるアンジオテンシンIIという物質がある。この物質はアンジオテンシン受容体に作用して血管収縮作用、心臓の肥大化作用、腎臓の線維化(腎機能が低下した状態)の促進作用などをあらわす。
血管収縮は血圧上昇の原因の一つで、カルシウムイオン(Ca2+)が重要な役割を担っている。Ca2+がカルシウムチャネルという通り道から血管平滑筋細胞内に入ることにより、血管が収縮する。
体のむくみ(浮腫)の原因の一つに体内の過剰な水分があり、血液にも水分が含まれているため、水分量が増えると血圧上昇などがおこる場合がある。体液が貯留する仕組みには色々な要因があるが、その一つに腎臓でのナトリウムイオン(Na+)の再吸収(尿に含まれるNa+と水などが一緒に血管内へ再吸収される)がある。
本剤はアンジオテンシンIIの作用する受容体(アンジオテンシンIIタイプ1受容体:AT1受容体)を阻害し血圧降下作用などをあらわすARB、カルシウムチャネルを阻害しCa2+の流入を阻害するカルシウム拮抗薬、腎尿細管におけるNa+などの再吸収を抑え降圧及び利尿作用をあらわすサイアザイド系利尿薬の3種類の配合剤となる。
降圧薬の併用療法に関して高血圧治療のガイドラインでは、2剤の併用としてARBとカルシウム拮抗薬又は利尿薬、ACE阻害薬とカルシウム拮抗薬又は利尿薬が推奨されている。また2剤で十分な効果が得られない場合には、ARB(あるいはACE阻害薬)とカルシウム拮抗薬に加え利尿薬の3種類の併用が推奨されている。本剤はこの3種類の併用療法をひとつの製剤で可能にし、3成分による血圧降下作用の他、多剤併用療法において服薬錠数が増えることによるアドヒアランス低下を抑えるメリットなどが期待できる。
ARB・カルシウム拮抗薬・利尿薬配合剤の主な副作用や注意点
ARB・カルシウム拮抗薬・利尿薬配合剤の一般的な商品とその特徴
ミカトリオ配合錠
- 1錠中に含まれる配合成分に関して
- ARB:テルミサルタン(ミカルディスの成分)を80mg含有
- カルシウム拮抗薬:アムロジピン(ノルバスクなどの成分)を5mg含有
- 利尿薬:ヒドロクロロチアジドを12.5mg含有