ST合剤
細菌などが行う葉酸合成と葉酸の活性化を阻害し増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
ST合剤の解説
ST合剤の効果と作用機序
細菌 などが行う葉酸合成と葉酸の活性化を阻害し増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬- 細菌などの増殖には遺伝情報を含むDNAの複製が必要でDNAの複製には葉酸が必要となる
- 細菌などは自ら葉酸を作り、活性化させることでDNAの複製に使用する
- 本剤は葉酸合成阻害作用をもつ薬剤と葉酸の活性化を阻害する薬剤の配合剤
真菌 が原因でおこるニューモシスチス肺炎に使用する場合もある
ST合剤の薬理作用
細菌の増殖には遺伝情報を含むDNAの複製が必要であり、DNAが作られる材料の一つに葉酸がある。ヒトは食事などで葉酸を外から取り込めるが、細菌は外から取り込むことができず自ら葉酸を合成しDNAの材料として使う。細菌はパラアミノ安息香酸などの物質から葉酸(ジヒドロ葉酸)を作り、さらにテトラヒドロ葉酸という活性物質へ変換する過程を経てDNAの複製を行う。
本剤はスルファメトキサゾールとトリメトプリムという成分の配合剤で、前者が葉酸(ジヒドロ葉酸)を作る過程で必要な酵素を阻害、後者がテトラヒドロ葉酸に活性化する酵素を阻害し細菌のDNA複製を阻害することで、細菌の増殖を抑え抗菌作用をあらわす。また、真菌であるニューモシスチス菌に対しても抗菌作用を示し、免疫抑制薬による治療など何らかの理由により免疫が低下している場合に発症リスクが高くなるニューモシスチス肺炎の治療やその予防に使用する場合もある。
ST合剤の主な副作用や注意点
ST合剤の一般的な商品とその特徴
バクタ
- 錠剤と顆粒剤があり、用途などによって選択が可能
- 錠剤に含まれる成分量に関して
- バクタ配合錠:1錠中スルファメトキサゾール400mg及びトリメトプリム80mg含有
- バクタミニ配合錠:1錠中スルファメトキサゾール100mg及びトリメトプリム20mg含有
バクトラミン
- 錠剤、顆粒剤、注射剤があり用途などによって選択が可能
ダイフェン
- 錠剤と顆粒剤があり、用途などによって選択が可能