子どもの成長
子どもの体に見たことのないものができると、重い病気ではないかと心配になります。危ないものもありますが、自然に治るものも多いです。子どもの体に現れやすい、あまり心配の要らない変化について説明します。
最終更新: 2020.12.14

赤ちゃんの体重が4日目に減っても大丈夫なのか?自然な体重減少(生理的体重減少)について

生理的体重減少と言って、赤ちゃんは生まれてからしばらくは体重が減っていくことが多いです。これは自然な現象です。つまり、生まれてまもない時期の体重が減ることは特に異常なことではありません。

1. 生理的体重減少とは?

生まれてから母乳やミルクをきちんと摂っているにもかかわらず、体重が減ってしまうことを生理的体重減少と言います。

まず知っておくべきことは、生まれてからしばらく体重が減っていくということは、ほぼ全員に起こる自然な経過であるということです。

生まれた赤ちゃんの体重が減っていくと親御さんは心配になるかもしれませんが、慌てることはありません。

しかし、気をつけなくてはならない状況も存在します。

【気をつけなくてはならない体重減少】

  • 生まれてから1週間経っても体重が減り続ける
  • 下痢が続いている
  • 身体や白目が黄色い状態が長く続く

これらの状況は要注意です。病気が隠れている可能性があるからです。
それぞれを詳しく説明していきます。

生まれてから1週間経っても体重が減り続ける

通常は生まれてから1週間から2週間で体重は元くらいに戻ります。つまり、生まれてから1週間位経てば体重の減少が止まることがほとんどです。

もし、生まれてから1週間経っても体重が減っていくようであれば、何か病気が隠れている可能性があるので、一度小児科に相談してみてください。

下痢が続いている

生まれたての赤ちゃんの便が明らかに液状である場合は下痢と判断してください。とはいえ、赤ちゃんの便は大人のものよりも柔らかいですので、下痢かどうかの判断が難しい場合は医師・看護師・助産師に相談してみてください。

下痢の原因は、細菌ウイルスによる感染が考えられますが、案外見落とされがちなのが乳糖不耐症という状態です。乳糖不耐症とは、生まれつきあるいは感染のあとに母乳やミルクをうまく消化できなくなってしまう状態を指します。実際に乳糖不耐症なのかどうかを判断することは容易でないので、下痢が続く場合は自分で判断するのではなく、小児科のお医者さんに診てもらってください。

身体や白目が黄色い状態が長く続く

身体の皮膚や白目が黄色くなる状態を黄疸といいます。体内に存在するビリルビンという物質が異常に増えてしまうことが黄疸の原因です。

ビリルビンは赤血球の中に含まれているのですが、赤血球が壊れると、内側に存在するビリルビンが外に出てきて、黄疸を起こします。

生まれたての赤ちゃんの赤血球は、成人の赤血球に比べて、壊れやすく寿命も短いので、どうしても赤血球が壊れやすく、黄疸が出てしまいます。しかし、身体が段々とその状態に対応できるようになり、生後2週間位までに黄疸は消えていきます。(詳しくは新生児黄疸のまとめを参考にして下さい。)

しかし、まれに生まれてから2週間を過ぎても黄疸が消えないことがあります。血液や肝臓、胆道の病気が潜んでいる可能性があり、体重も減少していることがあります。ですので、小児科できちんと調べてもらうようにしてください。

2. 新生児の体重の正常な変化について

生まれてから1週間位までは体重が減っていきますが、その後は体重は増えていくようになります。

体重が増えスピードには個人差がありますが、1日あたり30g程度の増加が目安になります。一般的な経過であれば、トータルでは最初の1ヶ月で500gから1000gくらい体重が増えることになります。

3. 生理的体重減少の原因について

生まれた時には赤ちゃんの身体の中には、便や尿などが多く溜まっています。それらは生まれてから身体の外に排泄されていくので、この排泄量は最初の1週間が多いです。

排泄量が母乳やミルクを飲む量よりも多いと、差し引きで体重が減ってしまうため、生理的体重減少が引き起こされます。

生まれてから1週間程度では体重が減ることが多いのですが、その後は排泄量を摂取量が上回るので、体重が増えだして、生まれてから1-2週間ほどで元の体重に戻ります。

4. 生理的体重減少のピークについて

どんなに体重が下がってもまた元に戻るのであれば、心配する必要はありません。とはいえ大体の目安は分かっており、知っておくと安心すると思います。

■体重減少の正常範囲
生まれたときの体重から考えて10%程度の体重減少であれば正常であると考えて良いでしょう。それ以上体重が減る場合は要注意ですが、すぐに体重が増え出すのであればあまり気にしすぎなくて良いです。反対に以下の状態は注意が必要です。

【注意が必要な体重減少の目安】

  • 生まれたときの体重から10%以上体重が減ってしまう
  • 生まれてから1週間以上経っているのに体重が増えない

これらの状況であれば、専門的な診察を受けたほうが良いかもしれないので、小児科で相談することをおすすめします。

5. 生理的体重減少の計算式について

前の章で、生理的体重減少は生まれたときの体重を基準に考えることを述べました。次に生理的体重減少を調べる簡単な式を紹介します。生理的体重減少は次の計算式で導き出されます。

生理的体重減少=生まれたときの体重ー現在の体重

これを計算するためには、生まれたときの体重を知っていなければなりませんので、覚えておくかすぐに調べられるようにしておくと便利かもしれません。
また、10%程度の体重減少であれば問題ないという時に使われているのが、生理的体重減少率という数字です。これは生まれたときの体重に比べて生理的体重減少はどんな割合なのかを見ている数字です。

次の計算式で導き出されます。

生理的体重減少率=(生まれたときの体重ー現在の体重)÷生まれたときの体重100

この式を用いて計算した結果が10%を超えるようでしたら、小児科にかかる目安として下さい。

6. 生理的体重減少が少ないのは異常なのか?

生理的体重減少が少ないことは基本的に異常ではありません。よく栄養がとれていることや大して便や尿が溜まっていなかった事が原因と考えられます。

しかし、便秘が原因で便が出ないようなこともあるのでその場合は要注意です。

次の症状に気をつけましょう。

【体重減少が少ないときに注意が必要なポイント】

  • 便がほとんど出ていない
  • お腹が膨れている
  • 母乳やミルクの飲みが悪い(1日に10回以下の哺乳の場合は要注意)
  • ぐったりしている

これらの症状が見られていて体重があまり減らない場合は、小児科を受診して診てもらってください。