赤ちゃんの出べそは臍ヘルニアなのか?原因・治療と注意するポイント | MEDLEY(メドレー)
子どもの成長
子どもの体に見たことのないものができると、重い病気ではないかと心配になります。危ないものもありますが、自然に治るものも多いです。子どもの体に現れやすい、あまり心配の要らない変化について説明します。
最終更新: 2020.12.14

赤ちゃんの出べそは臍ヘルニアなのか?原因・治療と注意するポイント

1. 赤ちゃんの出べそは異常?

赤ちゃんの出べそは正常です。5人から10人に1人の赤ちゃんが出べそです。ですが、赤ちゃんの出べそはほとんどの場合、2歳までに自然に治ります。放っておいてもほとんど害はありません。

へその緒を長く切ると出べそになる?

出べそとへその緒の切り方は関係ありません

出べその主な原因は次に説明する臍ヘルニア(さいヘルニア)です。臍ヘルニアはお腹の皮膚より下に原因があり、へその緒とは関係ありません。

2. 臍ヘルニアの原因について

臍ヘルニアの原因は赤ちゃんの腹筋に存在する隙間です。

ヘルニアとは臓器が本来の場所から隣り合った部分に飛び出すことです。臍ヘルニアではお腹の中の腸管が出べその中に飛び出しています。

赤ちゃんの腹筋には、へその緒が通る隙間(臍輪)が空いています。この隙間はすべての赤ちゃんにあり、たいていは出産直後に隙間が塞がります。塞がりきらないと、隙間から腸が飛び出すことがあります。これが臍ヘルニアです。

赤ちゃんが大きくなるにつれて腹筋の隙間は塞がっていくので、成長にしたがって臍ヘルニアが治ります。

臍ヘルニアになりやすい子供の特徴

以下の場合に臍ヘルニアが比較的多いです。

  • 早産
  • 低出生体重児

男の子と女の子で大きな違いはありません。

臍ヘルニアの症状

軽度の臍ヘルニアでは、赤ちゃんが泣いているときにだけ臍が飛び出して見えることがあります。泣くとお腹に圧力がかかるため見られる現象です。同じ理由で、咳をしたり体に力が入ったときも飛び出しやすくなります。

飛び出していても、押すと戻ります。

出べそが心配で医療機関にかかることを考えている人は、赤ちゃんの臍が飛び出したり戻ったりしていたら、写真を撮ってください。病院で写真を見せると診察がスムーズになります。

臍ヘルニアは、生後3か月ごろまでしだいに大きくなることがありますが、1.5cm程度まで大きくなっても自然に治るので、過度に心配しなくても大丈夫です。

3. 臍ヘルニアの治療について:手術

臍ヘルニアが自然に治らなくても、手術で治せます。手術の目的は見た目をよくすること(美容)になります。

手術しなくても自然に治る可能性があるので、手術を急ぐ必要はありません。また、医療機関によって臍ヘルニアに対する考え方が異なることもあるので、手術する年齢が異なることがあります。一般的には、2歳ごろまでは様子を見ることが多く、4歳ごろが手術時期の目安になります。

臍ヘルニアの手術はどんな内容なのか

標準的な手術の方法を説明します。
手術時間は1時間程度です。お腹を切って、ヘルニアの原因となっている腹直筋の隙間を縫い合わせます。補強のためにメッシュという素材を入れることもあります。
入院期間は手術前後で数日必要なことが多いのですが、日帰りで手術している施設もあります。

術後の注意点

術後は傷跡が弱くなっているので、傷跡を強くこすったり、お腹に強い力が入るような激しい運動をしないようにしてください。傷跡に特に気を付ける目安は術後1か月です。

手術費用

臍ヘルニアの手術費用は医療機関や居住地によって違います。自治体が助成を出している場合があるので、助成で無料になることもあります。

助成がない場合について次の通りになります。

手術費用は診療報酬点数として決められており、診療報酬点数をもとに計算すると、自己負担額は1万円から2万円程度となります。このほかに初診料、検査費用、薬の費用、入院費などがかかります

実際に支払う費用は、手術をする医療機関に問い合わせるのが確実です。助成については都道府県などの窓口に問い合わせてください。

協力医師からのメッセージ

このサイトに協力している医師から臍ヘルニアについてメッセージが寄せられています。

小児の臍ヘルニアはお腹の筋肉が弱いために飛び出しています。

従って体格が大きくなるに従って、腸管が収まることが多いです。

ただそれまでの時間が長い時や、出ているところが大きい場合は伸びきった皮が残ることになります。

その後に手術しても処理が難しいことがあって、こうなるとせっかく美容的なために手術をしようとしたのに、いい結果が得られないことになります。

実際には手術は1歳以降ということが多いですが、気になる場合は健診の際にでも小児科の先生に相談してみてください。

2016年5月11日 13:47:47のコメント

臍ヘルニアの手術は見た目をよくするだけなのか?

ごくまれに、臍ヘルニアが悪化した結果、腸の血流などが悪くなり、緊急手術が必要になります。次に説明します。

4. 危険な臍ヘルニア嵌頓(かんとん)について

臍ヘルニアで注意するべきなのは嵌頓(かんとん)という状態です。嵌頓とは飛び出したものがはまり込んで抜けなくなることです。

臍ヘルニアが嵌頓すると、絞扼性腸閉塞の原因になります。

腸閉塞(ちょうへいそく)とは、腸の中身が詰まってしまうことで、絞扼(こうやく)とは、血液が十分に流れてこなくなることです。嵌頓した腸は血液の流れが悪くなっており、血液が来なくなった部分が壊死(えし)してしまうことがあります。壊死した部分は脆く破れやすくなっているので、手術でとり除く必要があります。こうしたことから、腸ヘルニアが嵌頓した場合には、緊急手術が行われることが多いです。

非常に怖い腸ヘルニアですが、めったに腸ヘルニアの陥頓は起こらないので、腸ヘルニアがあるからといって過度に心配になる必要はありません。

臍ヘルニア嵌頓に気付くポイント

めったに起こらないからといって、臍ヘルニアが嵌頓する心配が全くないわけではありません。そこで、嵌頓が疑われる状態についてはおさえておきたいものです。

【臍ヘルニア嵌頓の症状】

  • 痛がっている
  • 吐いた(嘔吐)
  • 出べそに触ると痛がる
  • 出べそが急に大きくなった
  • 出べその色が青黒く変わった

上の症状があれば、嵌頓かもしれません。疑わしい症状があれば、すぐに病院に行ってください。

5. 成人にも臍ヘルニアはあるのか

赤ちゃんのころの臍ヘルニアが成人まで残ることはごくまれにあります。また、次の場合に成人でも新しく臍ヘルニアが発生することがあります。

【成人の臍ヘルニアの要因】

  • 肥満
  • 妊娠
    • 特にすでに何人か産んだあとの妊娠
  • 腹水がたまる病気
  • 長期間の腹膜透析

また、成人の臍ヘルニアは男性よりも女性に多いことも知られています。

腹部の手術後に起こる「腹壁瘢痕ヘルニア」について

お腹の手術の傷跡から腸が飛び出すことがあります。腹壁瘢痕ヘルニア(ふくへきはんこんヘルニア)と言います。臍ヘルニアと同様に、嵌頓や絞扼が起こることがあるので、治療の必要性について、お医者さんと相談してみてください。

6. 臍ヘルニアと臍帯ヘルニアは違うのか

臍ヘルニアと臍帯ヘルニアまったく別ものです

臍帯(さいたい)ヘルニアは、腸がへその緒の中に飛び出している状態です。死産や新生児死亡の原因にもなります。手術が必要です。多くの場合、出産から1日以内に手術します。一方で、臍ヘルニアは腸が飛び出している状態は同じですが、飛び出した先が腹筋の隙間です。

なお、臍ヘルニアがあっても臍帯ヘルニアになることはありません。