せんてんせいむつうしょう
先天性無痛症
神経の異常によって、生まれつき痛みを感じないまま成長する病気。怪我をしても気づかない
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最終更新: 2022.02.25
先天性無痛症の基礎知識
POINT 先天性無痛症とは
神経の異常によって、生まれつき痛みを感じない病気のことです。痛みを感じないために、骨折や脱臼の発見の遅れにつながったり、知らぬ間に火傷を負うことがあり、問題になります。遺伝子検査や針筋電図検査によって診断が行われますが、根本的な治療は現在は見つかっていません。先天性無痛症は小児科や脳神経内科で診療が行われます。
先天性無痛症について
- 神経の異常によって、生まれつき痛みを感じないまま成長し、怪我を繰り返す病気
- 無汗症(汗をかかない)を
合併 することが多く、先天性無痛無汗症とも呼ばれる
- 無汗症(汗をかかない)を
常染色体劣性遺伝 の疾患であり、両親が2人とも本疾患(の遺伝子)を持っていない限り、子どもが発症 することは珍しい- 頻度は低いが突然変異が起こって子どもに発症することはある
- 遺伝子の変異が原因で、チャネルと呼ばれる、細胞に物質が出たり入ったりするための構造に異常が生じる
- その結果、痛みを感じる神経が働かなくなってしまう
- 世界中でもまれな病気だが、その中でも日本に患者が多い
- 国内での患者数は100名以上と推定されている
先天性無痛症の症状
- 主な
症状 - 痛みを感じない
- 熱さや冷たさを感じない場合がある
- 熱いものと冷たいものの違いが触って分かったとしても、それをただ単に「熱・冷」として不快に(痛みとして)感じない
- 汗をかかない
- 原因不明の発熱
- 痛みを自覚できないため、手足をぶつけて傷ができたり、知らぬ間にやけどや骨折を負っていることがある
先天性無痛症の検査・診断
- 本人が気づかないうちに怪我を負っていることなどがきっかけで、病院の受診につながる
- 遺伝子検査
- 採血を行い、遺伝子の変異を調べる
- 診断確定のために重要な検査
針筋電図 - その他の疾患ではないことを確認するために行われる
先天性無痛症の治療法
- 生まれつきの病気であり、根本的に
治癒 させられる治療法は現時点で見つかっていない - 本人が怪我をしにくいように、周囲の家族や友人が出来ることを正しく理解し、怪我に繋がるような危険物を遠ざけるなどの環境整備を行うことが大切