AGA(男性型脱毛症)とは?:症状、検査、治療などの概要
AGA(男性型脱毛症)は主に男性に起こる、髪の毛が薄くなる現象のことを指します。程度の差こそあれ成人男性の約半数に起こると考えられており、悩みを抱える人は少なくありません。ここではAGAの概要として症状や検査、治療などについて説明します。
目次
1. AGA(英語名:androgenetic alopecia)ってどんな病気?
AGAは主に中高年の男性に起こる毛髪が減少する現象のことです。Androgenetic Alopecia(
2. AGAの症状について
AGAによる薄毛の現れ方には、大きく分けて3つのパターンがあります。
【AGAのパターン】
- 頭頂部の毛髪の減少が目立つパターン:頭頂部型
- 額の生え際の毛髪が減少するパターン:前頭部型
- 「頭頂部型」と「前頭部型」が同時に起こるパターン
前頭部型では額の左右両サイドの生え際の毛髪から減少しはじめるので、進行すると生え際がM字型に見えます。どのパターンであっても症状は進行性で、時間の経過とともに薄毛の部分が増加していき、自然に以前の状態に戻ることはほとんどありません。
3. AGAの原因について
AGAは
AGAが起こるメカニズム
髪の毛には生えては抜けるというサイクルがあり、これを毛周期(ヘアサイクル)と言います。毛周期には次のように3つの段階があり、数年かけてこの順をぐるぐると繰り返しています。
【毛周期(ヘアサイクル)】
- 成長期
- 退行期
- 休止期
正常な人では毛髪の85%が成長期にあります。成長期は毛髪が成長を続けている時期で、数年間続きます。成長期の毛髪は1日あたり0.3mmから0.5mm伸び、成長期が終わると数週間の退行期(全体の1%程度)を経て自然に抜け落ちます。そして再び成長期に入るまでの間を休止期(全体の15%程度)と言います。
髪の毛の量が一定に見えるのは、発毛と脱毛のバランスが保たれているからです。1日に100本近くの髪の毛が抜け落ちる一方で、100本近い髪の毛が再び生えてきます。しかし、AGAの人の髪の毛は成長期が短く、休止期にとどまる毛が多くなる傾向があります。つまり、髪の毛が長く太く育たないうちに抜けてしまい、新しく生える毛よりも抜ける毛のほうが多くなるので、薄毛が目立つようになるのです。
AGAの人の脱毛部を調べると、男性ホルモンの1つであるジヒドロ
AGAになりやすい人
AGAは遺伝的要素が関係すると言われています。具体的には父親がAGAの人はそうでない人に比べて、5倍程度AGAになりやすいと考えられています。その他の要因は詳しくわかってはいません。
4. AGAの検査について
薄毛の原因はAGAだけではありません。適切な治療につなげるために、診察や検査で情報を集めて原因に迫ります。
【AGAが疑われた人に行われる診察や検査】
問診 - 身体診察
- 血液検査
AGAであれば問診と身体診察でほとんどの人が診断されます。一方で、他の原因と区別がつきにくい人には血液検査が行われることがあります。 診察や検査のより詳しい説明は「こちらのページ」を参考にしてください。
5. AGAの治療について
AGAが自然に治ることはほとんどありません。そのため、髪の毛を増やしたい人には治療が必要となります。
【AGAの治療】
AGAの治療は薬物療法が中心です。飲み薬と塗り薬があり、進行度や副作用などを踏まえて適した薬が選ばれます。薬物療法に効果が見られない人にはレーザー治療や植毛が検討されます。それぞれの治療の詳しい説明は「こちらのページ」を参考にしてください。
6. AGAで知っておくと良いこと
ここまでAGAの原因や治療などを説明してきましたが、AGAを治療する際に知っておくとよいことを2つ取り上げます。なお、よくある疑問や質問については「こちらのページ」にまとめてあるので参考にしてください。
AGAと上手に付き合うことも大事である
AGAは命を脅かすような病気ではなく、多くの人が加齢にともなって経験する自然な現象の1つです。以前に近い状態に近づけるためにAGAの治療を受けるのは1つの考え方ですが、現状に似合うへアスタイルに変えてみるというのも1つの解決策です。治療を受けようかどうか悩んでいる人は、AGAと上手に付き合うことも検討してみてください。
AGAの飲み薬は個人購入しない
AGAの飲み薬は医療機関で手に入れることができますが、インターネットなどでも販売されています。しかし、個人購入できる薬の中には偽物も交じっており、健康被害も報告されているので、AGAを治療したい人はまず医療機関で相談するようにしてください。
参考文献
・日本皮膚科学会男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版
・Up To Date Androgenetic alopecia in men: Pathogenesis, clinical features, and diagnosis:Authors:Jeff Donovan, MD, PhD Beth G Goldstein, MD Adam O Goldstein, MD, MPH