[医師監修・作成]AGA(男性型脱毛症)の治療について:飲み薬、塗り薬、レーザー治療など | MEDLEY(メドレー)
えーじーえー(だんせいがただつもうしょう)
AGA(男性型脱毛症)
思春期以降に始まり、徐々に進行する脱毛。女性に起こることもある。
5人の医師がチェック 78回の改訂 最終更新: 2022.05.30

AGA(男性型脱毛症)の治療について:飲み薬、塗り薬、レーザー治療など

AGAの治療には薬物療法やレーザー治療、植毛があり、状態に応じて適した方法が選ばれます。このページでは、治療法の詳しい説明に加えて、ガイドラインが果たす役割や、医療機関の選び方、治療にかかる費用についても合わせて説明します。

1. AGAの治療について:薬物療法・レーザー治療・植毛

AGAが自然に治ることはほとんどありません。このため、髪の毛を増やしたい人には治療が必要になります。

【AGAの治療】

AGA治療の中心は薬物治療です。継続して薬を使うと増毛効果が期待できます。一方で、薬の効果が小さい人にはレーザー治療や植毛が検討されます。

薬物療法

薬物療法には飲み薬と塗り薬があります。どちらにも増毛効果が期待できますが、効果や副作用に違いがあるので、薄毛の程度や薬の使用感などを参考にして適したものが選ばれます。

■飲み薬(内服薬)

AGAの飲み薬にはフィナステリド(プロペシア®)とデュタステリド(ザガーロ®)の2つがあります。ともに、AGAの原因となる男性ホルモン〔主にDHT(ジヒドロテストステロン)〕の合成を抑える働きがあります。フィナステリドよりデュタステリドのほうが高い効果が得られますが、その分副作用も出やすいです(副作用についてはそれぞれの薬の基本情報「フィナステリド」や「デュタステリド」を参考にしてください)。

フィナステリドにしろデュタステリドにしろ効果は一時的なので、薬を中止すれば増毛効果がなくなります。このため、長期に渡って改善効果を得るには、薬の継続が必要になります。

注意してほしいのは、どちらも男性に限って使われる薬であって女性に使われることはないということです。間違っても個人購入などを利用して試さないようにしてください。

■塗り薬(外用薬)

ミノキシジルという成分が含まれた塗り薬が有効です。ミノキシジルは頭皮の血流を促進し、毛母細胞に刺激を与えることによって発毛を促します。1日2回、1mLを脱毛している頭皮に塗ります。薬は乾いた頭皮に塗るほうが望ましいとされています。洗髪後に塗る場合はしっかりと乾かしてからにしてください。また、効果を大きくしようとしてたくさん薬を塗り込む人がいますが、量を多くしても効果は上がらず、副作用の懸念が高まるだけです。くれぐれも用法・用量は守るようにしてください(副作用についてはこちらのページを参考にしてください)。

なお、ミノキシジルを飲み薬として勧めてくる医療機関がありますが、飲み薬としての効果は確認が不十分なうえ、強い副作用が懸念されています。「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」でも行うべきではないとされているので、避けてください。

また、ミノキシジル以外ではアデノシンや、カルプロニウム、t-フラバノン、サイトプリン・ペンタデカン、ケトコナゾールなどが塗り薬として使われることがあります。

低出力レーザーおよびLED照射

低出力のレーザーまたはLEDを脱毛部分に照射する治療です。いくつかの研究で増毛効果が確認されており、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」でも勧められる治療法の1つとされています。主な副作用は皮膚の乾燥、掻痒、圧痛(押すと痛みが現れること)、ひりつきなどです。

植毛術

植毛術は薄くなった部位に毛包(毛をつくる器官)ごと髪の毛を植え付ける治療法です。主に後頭部の髪の毛が使われます。自分の髪の毛を使うので、拒絶反応の心配はほとんどなく、効果も比較的長く続くと考えられています。AGAは毛包が男性ホルモンの影響を受けて毛周期が短くなることが原因です。後頭部の毛包には、男性ホルモンを受け取るアンドロゲンレセプターが少なく、影響が出にくいので、効果が持続すると考えられています(AGAの原因については「こちらのページ」を参考にしてください)。

なお、人工毛を使った植毛術は拒絶反応などによる皮膚への悪影響が懸念されるので、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」においては『行うべきではない』とされています。

2. AGAの治療ガイドラインについて

ガイドラインは治療の成績や安全性の向上を目的として作成されたものです。AGAには日本皮膚科学会が作成した「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017」があります。ガイドラインは過去の治療結果や報告などを根拠にして作成されており、お医者さんはガイドラインの内容を踏まえることで効果が高い治療法を選びやすくなります。

3. AGAを治療したい場合の診療科について:皮膚科、AGAクリニックなど

AGAの治療は主に皮膚科や泌尿器科で受けることができます。 皮膚科のお医者さんは顔や手足の皮膚だけではなく、頭皮の診察にも長けているので、専門的な検査や治療を行うことができます。一方、泌尿器科のお医者さんは、男性ホルモンが関係している病気の診療に長けているので、男性ホルモンを調整するAGAの治療薬の扱い慣れています。その他では一般的な内科で診療を受けられる場合がありますし、ヘアクリニックや、美容クリニックといった名前で登録している医療機関もあります。

4. AGAの治療費用について

AGAの治療は基本的には公的医療保険が効きません。つまり、診療にかかる費用(診察代・検査費・治療費)は全額自己負担です。医療機関によってばらつきはありますが、例えば薬物療法を行った場合、初診(最初の診察)に10000円程度、その後は月1回の診察と治療費に10000円から30000円程度が必要です。また、確定申告における医療費控除(一年間に一定金額以上の医療費を払った場合に税金の一部が戻ってくる制度)の対象外であることも押さえておいてください。

参考文献

日本皮膚科学会男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版
・Up To Date Androgenetic alopecia in men: Pathogenesis, clinical features, and diagnosis:Authors:Jeff Donovan, MD, PhD Beth G Goldstein, MD Adam O Goldstein, MD, MPH