だんせいがただつもうしょう(えーじーえー)
男性型脱毛症(AGA)
思春期以降に始まり、徐々に進行する脱毛。女性に起こることもある。
5人の医師がチェック 66回の改訂 最終更新: 2018.08.04

Beta 男性型脱毛症(AGA)のQ&A

    男性型脱毛症(AGA)の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    人間の毛髪には、成長期、退行期、休止期という3つを繰り返すサイクルがあります。

    • 成長期:毛髪が成長し続ける期間
    • 退行期:成長が急に鈍くなり、休止期へ移る間の期間
    • 休止期:成長が完全に止まった期間。少しの刺激で脱毛する

    このうち、本来であれば数年間あってサイクルの大部分(9割)を占める成長期が短くなり、逆に休止期にある毛髪の割合が増えるのが男性型脱毛症(AGA)です。

    成長期が短くなる原因としては、男性ホルモンが関与していると考えられています。

    男性型脱毛症(AGA)では、どの部位の毛が抜けやすいのでしょうか?

    男性型脱毛症(AGA)では、前頭部(おでこ周辺)と頭頂部(頭の天辺)の毛髪が抜けると同時に、毛髪そのものが「短く、細く、柔らかく」なるのが特徴です。

    また、女性の場合には男性と異なり、頭頂部を中心に広く全体的に頭髪が薄くなるパターンが多いです。

    男性型脱毛症(AGA)は、どのように診断するのですか?

    男性型脱毛症(AGA)を診断するための特殊な検査というものはなく、診断の上で最も重要なのは問診と医師による診察です。

    • 問診で確認する内容:家族に脱毛症の人がいるか、脱毛の経過(いつからか・どの部位からか)、脱毛に繋がる特別な要因がないか(急激なダイエット、妊娠、併用している薬剤など)
    • 診察で確認する内容:特に前頭部(おでこ周辺)と頭頂部(頭の天辺)の毛髪が細く短くなっているか

    男性型脱毛症(AGA)の中心となる治療薬について教えて下さい。

    男性型脱毛症(AGA)に対して、日本皮膚科学会が「行うよう強く勧める」としている薬剤には2つあります。

    • ミノキシジル1):男性に対して5%ミノキシジル外用液、また女性に対して1%ミノキシジル外用液を治療の第一選択として用いるべきとされています
    • フィナステリド(商品名:プロペシアなど):男性に対して、内服療法の第一選択薬として用いるべきとされています。一方で、女性ではフィナステリドの効果が無いことに加え、妊娠や授乳に際して胎児・乳児への強い副作用の恐れがあるため使用してはならないとされています。

    参考:「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)日本皮膚科学会

    ミノキシジル(商品名:リアップなど)は、病院で処方される医療用医薬品としては国内で認可されていません。処方箋を必要としない市販品は薬局などで購入可能であったり、また、クリニックでは自由診療(保険が効かない料金体系)で販売しているところがあります。

    フィナステリド(商品名:プロペシアなど)は、医療用医薬品として厚生労働省の認可がありますが、処方に保険は効かず、また国内では成人男性(20歳以上)のみが対象とされています。未成年者および女性は使用すべきではありません。また、少なくとも6か月程度は内服を継続して効果をみるべきであり、内服を中止すると再び脱毛症状は進行してしまいます。

    男性型脱毛症(AGA)になりやすいのは何歳ごろですか?

    日本人の場合には、20歳代後半から30歳代にかけて顕著になり、徐々に進行して、40歳代以後に脱毛が完了するとされています。

    参考:「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)日本皮膚科学会

    男性型脱毛症(AGA)で行われることのある検査はどんなものですか?

    男性型脱毛症(AGA)を診断する上では、症候性脱毛症(ある特定の病気や状態が背景にあって、その影響で生じている脱毛のこと)でないことを確認しなければなりません。

    例えば甲状腺機能低下症や膠原病などが原因の症候性脱毛症があります。これらが疑われる場合には、血液検査で甲状腺ホルモンの値や、膠原病に特有の血中の免疫物質の量などを測定したりします。

    男性型脱毛症(AGA)のその他の治療薬について教えて下さい。

    ミノキシジル(商品名:リアップなど)、フィナステリド(商品名:プロペシアなど)以外の治療については、日本皮膚科学会では「行うことを考慮してもよいが、十分な根拠が無い」としているものがいくつかあります。

    • 塩化カルプロニウム外用薬(国内で認可されている医療用医薬品なし)
    • t-フラバノン外用薬(国内で認可されている医療用医薬品なし)
    • アデノシン外用薬(国内で認可されている医療用医薬品なし)
    • サイトプリン・ペンタデカン外用薬(国内で認可されている医療用医薬品なし)
    • ケトコナゾール外用薬(商品名:ニゾラールなど、ただしAGAに対しては保険適応外)

    これらについては、ミノキシジル、フィナステリドと比較して十分な効果が認められているとは言えないものの、使ってはならないとするものでもない、という位置付けになっています。

    男性型脱毛症(AGA)は、どのくらいの頻度で起こるのですか?

    発症頻度は20代で10%、30代で20%、40代で30%、50代以降で40%以上と、年齢とともに高くなります。

    参考:「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)日本皮膚科学会

    男性型脱毛症(AGA)の治療として、植毛術は効果がありますか?

    植毛術には、自毛植毛と人工毛植毛があります。

    自毛植毛とは、後頭部など、毛髪が多く残っているところから取ってきた毛を、毛包ごと採取して必要な部位に植え付ける方法です。人工毛植毛は、合成繊維で作られた人工毛を植え付ける方法になります。

    自毛植毛の生着率は82%以上とされており、治療の選択肢の一つとなっています。

    一方で、人工毛植毛は、人工毛が皮膚に対して与える刺激や生着期間の短さなどが問題となり、海外ではその使用を禁止している国があります。厚生労働省では特に制限は設けていませんが、日本皮膚科学会では、「現時点では日常診療において使用しないよう勧告する」と報告しています。

    男性型脱毛症(AGA)と症候性脱毛症の違いについて教えて下さい。

    男性型脱毛症(AGA)は、病気ではなく、年齢の変化に伴う生理的な現象です。

    一方で症候性脱毛症は、ある特定の病気や状態が背景にあって、その影響で生じている脱毛のことを指します。たとえば甲状腺と呼ばれる首の前面にある臓器のはたらきが低下すると、脱毛が生じやすくなることが知られていますし、また、妊娠中の女性で一時的に脱毛が目立つようになることもあります。このようなものを総称して、症候性脱毛症と呼びます。

    男性型脱毛症(AGA)は遺伝するのでしょうか?

    男性型脱毛症(AGA)には、遺伝と男性ホルモンが関係しています。

    23対ある染色体のうち、X染色体および3, 20番染色体に、AGA関連遺伝子があることが知られています。

    他の多くの病気と同じように、家系にAGAの方が多いと本人もAGAにはなりやすいと言えますが、逆に両親がAGAであっても、本人が100%AGAになるというわけではありません。あくまでも遺伝的傾向というようにお考え下さい。