てつがきゅうせいひんけつ
鉄芽球性貧血
赤血球の合成システムの異常によって生じる貧血の一種
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最終更新: 2018.01.11
鉄芽球性貧血の基礎知識
POINT 鉄芽球性貧血とは
赤血球は血液中に含まれる細胞であり、酸素を運ぶ役割を果たしています。赤血球は骨髄の中で赤芽球という細胞が成長して作られます。赤芽球は鉄分を利用して成長しますが、鉄芽球性貧血では赤芽球が取り込んだ鉄分をうまく利用できず、赤血球不足すなわち貧血になります。鉄芽球性貧血は生まれつき起こる遺伝性鉄芽球性貧血と、後天性鉄芽球性貧血に分けられます。遺伝性鉄芽球性貧血は珍しい病気であり、厚生労働省の指定難病となっています。後天性鉄芽球性貧血には様々な原因がありますが、骨髄異形性症候群によるものが代表的です。鉄芽球性貧血の症状としては、貧血によるめまい、ふらつき、動悸、息切れ、だるさ、顔色の悪さなどが挙げられます。診断は採血検査や骨髄検査により行います。治療としてはビタミンB6の大量投与、輸血などがあります。鉄芽球性貧血が心配な方や治療したい方は血液内科や小児科を受診してください。
鉄芽球性貧血について
赤血球 の合成システムの異常によって生じる貧血の一種- 赤血球の材料となる鉄分は十分に体内にあるにも関わらず、赤血球が正常に作れなくなってしまう
- 鉄から
ヘモグロビン (赤血球の一部)を合成する段階で障害が生じる
- 主な原因
先天性 のもの(生まれつきのもの)- ヘモグロビン合成に必要な
酵素 の異常 - 日本人で見られるものは、
X染色体 連鎖性遺伝という形式で遺伝することがほとんどで、男児にのみ発症 する
- ヘモグロビン合成に必要な
後天性 のもの(年齢とともに出現したもの)- 骨髄異形成症候群
- 薬物:クロラムフェニコール、イソニアジド、ピラジナミドなどの副作用
- 化学薬品、金属:エタノール、アルコール、鉛などの中毒
- 遺伝性鉄芽球性貧血(先天性のもの)は難病指定疾患であるので、状況に応じて医療費補助の申請が可能である
鉄芽球性貧血の症状
鉄芽球性貧血の検査・診断
鉄芽球性貧血の治療法
- 薬剤が原因の場合には、疑わしい薬剤の使用を中止あるいは変更する
- 先天的なものの場合
ビタミン B6製剤:赤血球 合成を助ける- 鉄キレート剤:鉄が過剰にならないように余分な鉄を吸着させる
- 輸血:輸血によって正常な赤血球を補充する(必要最小限にする)
造血幹細胞移植 :正常な赤血球を作る細胞を移植する