がんせいにゅーろぱちー(ぼうしゅようせいまっしょうしんけいしょうがい)
がん性ニューロパチー(傍腫瘍性末梢神経障害)
がんによる直接の神経圧迫以外の原因で生じる神経障害
7人の医師がチェック 84回の改訂 最終更新: 2022.02.28

がん性ニューロパチー(傍腫瘍性末梢神経障害)の基礎知識

POINT がん性ニューロパチー(傍腫瘍性末梢神経障害)とは

がんが直接圧迫する神経障害以外の神経への影響のことを指します。がんが作り出す異常な免疫物質(抗体)が関係していると考えられています。特定の症状がある訳ではなく、筋力の低下として現れたり、感覚の低下として現れたりします。また症状が現れる場所も特に決まっていないので、どこにでも症状が現れる可能性があります。がん性ニューロパチーが疑われる人には血液検査や末梢神経伝導速度検査、PET検査などが行われます。抗がん剤によって神経が傷んだ場合と区別する必要があるときには、抗がん剤を中止して症状の変化の有無が調べられます。がんを治療することで症状がよくなるので、がん治療(手術や抗がん剤、放射線治療など)が行われ、症状を緩和するためにビタミン製剤を使うこともあります。がん性ニューロパチーの人の治療はがんを治療している診療科(例:消化器内科や呼吸器内科など)と神経内科が協力して行います。

がん性ニューロパチー(傍腫瘍性末梢神経障害)について

  • がんによる直接の神経圧迫以外の原因で生じる神経障害
  • 病態、メカニズム
    • 異常な抗体産生に伴う免疫反応がかかわっている
    • 肺がんなどの固形悪性リンパ腫などの血液系癌で、末梢神経が週から月単位で障害される
    • 腫瘍症候群の一種
  • 主な原因
    • 癌によって免疫のバランスが乱れたことによって起こると考えられる
  • タイプによって分けると以下のようになる
    • 亜急性感覚性ニューロパチー
    • 運動感覚性ニューロパチー
    • 脱髄性ニューロパチー
    • 自律神経性ニューロパチー

がん性ニューロパチー(傍腫瘍性末梢神経障害)の症状

  • 特定の症状のパターンがあるわけではなく、以下のようなものが様々な部位に、様々な組み合わせで生じる
    • 筋力低下
    • 感覚低下
    • 腱反射の消失

がん性ニューロパチー(傍腫瘍性末梢神経障害)の検査・診断

  • 確定診断に必要な検査
    • 血液検査、髄液検査自己抗体の測定を行う
    • 末梢神経伝導速度検査
    • 自律神経検査
    • FDG-PET/CT検査
  • 場合によっては除外診断が必要になることが多い疾患とそのための検査
    • 抗癌剤による末梢神経障害
      • 薬剤性の場合:疑わしい薬剤を中止することで神経症状が改善するかどうかを確認する

がん性ニューロパチー(傍腫瘍性末梢神経障害)の治療法

  • 悪性腫瘍の治療が根本治療につながる
    • 悪性腫瘍に対する治療が有効でなくなっているなら、他の治療方法を検討する
    • ビタミンB製剤の使用などを対症療法として組み合わせることもある
    • 痛みを伴うような場合は、鎮痛薬を用いて症状を緩和する

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