さんせんべんへいさしょう
三尖弁閉鎖症
心臓の右心室と右心房の間にある三尖弁が先天的に(生まれつき)閉鎖している状態
8人の医師がチェック 34回の改訂 最終更新: 2019.10.07

三尖弁閉鎖症の基礎知識

POINT 三尖弁閉鎖症とは

三尖弁閉鎖症は心臓にある4つの部屋の中でも右心房と右心室の間に存在する三尖弁が生まれつき閉鎖してしまっている病気です。この病気があると右心房から右心室に血液が全く流れないのですが、たいていの場合は心房中隔欠損症も合併しているため血液は右心房から左心房へ流れることで辛うじて血流が保たれています。主な症状はチアノーゼ・息切れ・荒い呼吸・哺乳量の低下などになります。 症状や身体診察に加えて、心臓エコー検査や心臓カテーテル検査を用いて診断します。根治するための治療は手術を行うことになりますが、補助的に薬物治療を行うこともあります。三尖弁閉鎖症が心配な人や治療したい人は、小児科・小児外科・循環器内科を受診して下さい。

三尖弁閉鎖症について

  • 三尖弁閉鎖症とは、心臓の右心室右心房の間にある三尖弁が閉鎖して起こる先天的な心疾患
    • 心房中隔欠損症合併する
    • 右房に流れ込んだ静脈血は右心室に流れることができないため、心房中隔欠損を通って、左房へ流れる
    • その他、心室中隔欠損症肺動脈狭窄、大血管転位などの先天性異常を伴うことも多い
  • 病気は以下の要素のよってタイプが分かれる
    • 大動脈と心室の関係
    • 心室中隔欠損の有無や程度
    • 肺動脈狭窄や閉鎖の有無や程度

三尖弁閉鎖症の症状

  • チアノーゼ(指の先や唇が青紫色に変化する)を起こすことが多い
    • 本来は酸素の足りない静脈血は、肺に行って酸素を供給される
    • 酸素の足りない静脈血が、うまく肺に行かずに全身に再度流れてしまうため酸欠になる
    • 血流の流れが肺に行きづらい赤ちゃんの場合はチアノーゼが強い傾向があり、肺に行きやすい場合はチアノーゼは目立たず、呼吸障害、肝腫大、体重増加不良などの心不全症状が主体となる
    • 生後数週は比較的症状はなく、徐々に症状が強くなってくることも多い

三尖弁閉鎖症の検査・診断

  • 身体診察
    • 視診:チアノーゼの有無
    • 触診:スリルの有無
    • 聴診:Ⅲ音や拡張中期ランブルの有無
  • 心臓の検査
    • 心臓超音波検査
    • 心電図検査
    • 心臓カテーテル検査
  • 全身状態の評価
    • 胸部単純レントゲン検査X線写真)
    • 胸部CT検査
    • 胸部MRI検査
    • 血液検査(BNPなど)

三尖弁閉鎖症の治療法

  • 複数回の手術治療が必要となる
    • 新生児のときは肺へ流れる血流量次第で手術が必要
      • 肺への血流が少ないときはBTシャント術やプロスタグランジンE1を使用して動脈管開存を行う
      • 肺への血流が多いときは肺動脈を狭くするために肺動脈絞扼術を行う
    • 乳児期ではグレン手術を行う
    • その後1-3歳ごろにフォンタン手術を行う
  • フォンタン手術を行わなければチアノーゼは基本的に治すことができない
  • 心不全があれば必要に応じて薬による治療を行う
    • 利尿薬 
    • 降圧薬   など

三尖弁閉鎖症が含まれる病気

三尖弁閉鎖症のタグ

三尖弁閉鎖症に関わるからだの部位