脱肛で知っておくと良いこと
脱肛かもしれない、と思っても医療機関に行くのがためらわれたり、誰にも相談できず一人でなんとかしようと思う人は少なくありません。このページでは、脱肛が心配な人が抱きがちな疑問点について解説しています。
1. 自然に治ることはあるのか?
痔核が肛門の外に脱出するのが脱肛ですが、どの程度出てきやすいかで治療法が異なります。軽度の脱肛であれば生活習慣の改善だけで治ることも多いと考えられますので、まずは自分の日常生活を見直すようにしてください。軽度の脱肛とは、下表のGradeIまたはIIのことを指します。
【Goligher分類】
Grade I | 排便時に痔核がふくらむが、肛門の外には脱出しない |
Grade II | 排便時に肛門の外に脱出するが、排便が終わると自然に元に戻る |
Grade III | 排便時に肛門の外に脱出し、手で戻さないと元に戻らない |
Grade IV | 常に肛門の外に脱出し、肛門の中に戻すことができない |
ただし、強い痛みがあったり出血が止まらない場合にはGradeによらず医療機関を受診するようにしてください。
2. 市販薬で様子を見ても良いか?
脱肛をはじめとする肛門の病気がある人は恥ずかしいという気持ちが強く、医療機関への受診に心理的な抵抗感があると思います。適切な診断と治療を受けるために医療機関を受診することが本来は望ましいですが、どうしても受診しづらい場合には市販薬での治療を試してみることも間違いではありません。
市販薬を使う場合には痛みや出血などの症状があることが多いと思いますので、薬局の薬剤師さんに相談しながら薬を選ぶようにしてください。また、こちらのページで痔核の治療薬(市販薬)について紹介していますので参考にしてください。
市販薬による治療を1週間程度続けてもまったく症状が良くならない場合には、医療機関への受診が推奨されます。自分では痔核だと思っていても実は違う病気だった、ということもありますので、市販薬治療にこだわりすぎないようにしましょう。
3. 受診の目安はあるか?
脱肛による症状(痛みがある、出血する、手で戻さないと痔核が戻らない、など)がある人は医療機関を受診することが望ましいです。痔核が脱出したまま元に戻らない人も受診を検討してください。
脱肛などの肛門の病気は自分自身で見て確認することが難しい病気です。痔核だと思っていたら実は違う病気が隠れていることもありますので、初めての症状を感じた場合には医療機関を受診して適切な診断を受ける方が良いでしょう。
また、急激に強い痛みが起こった場合、出血が止まらない場合にはできるだけ早く医療機関を受診するようにしてください(注意したい症状について、こちらで詳しく説明しています)。
4. 手で戻せなくなったらどうすれば良いか?
脱肛を手で戻せなくなった状態はGradeIVの脱肛に該当します。このような場合に痔核を無理に肛門へ押し込もうとすると、痔核が傷ついたり痛みの原因になることがあるので避けた方が良いです。肛門用の軟膏を持っている人は痔核と肛門に塗ると戻しやすくなることがあるので試してみてもよいでしょう。
手で戻せない脱肛の人では市販薬による治療には限界がありますので、早めに医療機関を受診することが望ましいです。
5. 何科を受診すればよいか?
脱肛の診察や治療は消化器内科や消化器外科、肛門科などで行われます。痔核の治療を得意としている病院やクリニックもありますので、自宅近くの医療機関を調べてみてください。
大腸・肛門の病気の専門施設や専門医を検索する場合には日本大腸肛門病学会のホームページ(https://www.coloproctology.gr.jp/)も参考にしてください。
最初から痔核の専門病院を受診することに抵抗感がある人は、普段みてもらっているかかりつけの先生に相談するのも良いです。