脱肛の検査について
脱肛の検査では
1. 問診
脱肛が疑われる人では、まず問診で自覚症状について詳しく質問されます。質問の内容は次のようなものが多いです。
- 痔核があると言われたことがあるか
- 痔核が肛門の外に出てくることがあるか
- 脱肛の症状はいつからあるか
- どのようなときに脱肛が起こりやすいか(排便時など)
- 一度脱出した痔核は自然に元に戻るか、手で戻す必要があるか
- 1週間に何回くらい脱肛が起こるか
- 痛みはあるか
- 出血はあるか
これらの質問を通して脱肛の状態を調べるとともに、似たような症状を起こす別の病気が隠れていないかを調べます。
また、脱肛の症状以外に、患者さんの背景を把握するための質問をされることもあります。
- 持病や過去にかかった病気があるか
- 内服中の薬があるか
- 薬や食べ物に対する
アレルギー があるか - お酒を飲むか、飲むときはどのくらいの量を飲むか
- たばこを吸うか、吸うときは何本吸うか
- 家族に痔や腸の病気の人がいるか
- (女性の場合)妊娠しているか
服薬中の薬がある人は、より正確に情報を伝えるために、お薬手帳を持参するとよいです。
2. 身体診察
身体診察は、お医者さんが患者さんの身体を観察したり実際に触ったりして全身の状態を調べる検査です。脱肛の診察では主に肛門周囲の状況を調べます。
まず、肛門の周りを観察します(視診)。目で見てわかる痔核があるかどうか、痔核が肛門の外に出ているかどうか、出血があるかどうかなどを確認します。この時、お腹に力をいれる(いきむ)ように指示されることがありますが、これは、脱肛を起こしやすくして、脱肛の状態をよく診察するためです。
次に指を肛門に挿入して痔核の有無や状態を調べます(直腸診)。肛門のどの位置に痔核があるか、痔核の大きさはどのくらいか、痔核に触れたときに痛みがあるかどうかなどを診察します。身体診察では肛門を観察しやすい姿勢、例えばベッドに横向きに寝て膝をかかえ背中を丸くする姿勢をとります。
3. 肛門鏡検査
視診だけでは肛門の内側や直腸の状態を観察することはできません。そこで、肛門鏡と呼ばれる診察器具を使用した検査を行います。肛門鏡は肛門から挿入し、おしりの穴を広げるようにして肛門内部の状態を観察します。
4. 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
大腸内視鏡検査では小腸の一部から大腸全体を観察して最後に肛門部を観察しますが、この際に痔核や脱肛が見つかることがあります。脱肛が疑われる人に必ず行う検査ではありませんが、脱肛以外の腸の病気を合わせて調べることができるという特徴があります。