こつばんこっせつ
骨盤骨折
大きな外力が加わって起こる骨盤の骨折
6人の医師がチェック 87回の改訂 最終更新: 2017.12.06

骨盤骨折の基礎知識

骨盤骨折について

  • 大きな外力が加わって起こる骨盤の骨折
  • 骨盤は左右の恥骨、坐骨、腸骨、仙骨で構成されており、骨折した部位によって症状や治療が変わってくる
  • 骨盤の内部には重要な臓器や大きな血管があり、骨盤骨折は生命を脅かす出血や内臓の損傷につながる可能性がある
  • 以下のことが原因で起こる
    • 若年者の場合、スポーツによるけが
      ・筋肉の付着部がはがれる骨折(剥離骨折)が多い
    • 高齢者の場合、転倒など比較的軽いな外力でも骨折する

骨盤骨折の症状

  • 骨盤骨折そのものによる激痛
  • 骨折に伴って他の臓器が損傷することによる症状
    • 血尿
      ・膀胱や尿道などが骨折によってダメージを受けることがある
    • 腟粘膜の出血
    • 血便

骨盤骨折の検査・診断

  • 緊急の治療を要する、内腸骨動脈損傷による出血性ショックを素早く見つけることが重要
  • 触診、視診:以下のことを調べる
    • 腰の周りに骨盤骨折による圧痛や動揺性の有無
    • 頻脈(脈が速くなっているか)
    • 脈の強さ
    • 眼瞼結膜貧血まぶたの裏が白くなっているか)
  • 腹部レントゲン:骨折の有無、ずれの程度を調べる
  • 腹部CT:骨折の有無、ずれの程度を調べる
    • 仙骨骨折、仙腸関節の離開を見つけやすい
    • 内腸骨動脈損傷による出血の量もわかる
  • 血尿がみられる時は尿道造影膀胱造影を行う

骨盤骨折の治療法

  • 大量出血を伴う場合は、緊急で止血処置を行う必要がある
  • サムスリング、シーツラッピング
    • 緊急時に骨盤を周囲から押さえて、一時的に出血を軽減させるための処置
  • 手術
    • 創外固定術
      ・骨盤に金属の棒を打ち込んで、体の外で棒同士をつなぐことで、骨折部がずれないように固定する簡易的な手術
    • 内固定術
      ・骨盤そのものを金属のプレートで固定し直す手術
  • 痛みが治まれば歩けるようになることが多い
  • 恥骨や坐骨の骨折は、手術を必要とすることはまれである

骨盤骨折の経過と病院探しのポイント

骨盤骨折が心配な方

骨盤骨折は、交通事故などで強い衝撃が加わった際に多い骨折です。車にはねられたり、高いところから転落したりした後から腰や股関節の周囲が痛い場合には、骨盤骨折の可能性があります。それ以外にも似た症状を来たす疾患としては腰椎の骨折や大腿骨の骨折などがありますので、症状だけからご自身で骨盤骨折と診断するのは必ずしも容易ではありません。また、骨盤骨折は特に処置を行わず痛み止めで治るのを待つのが治療となるものから、そのままでは命に関わるものまで、重症度に幅があることも特徴の一つです。

ご自身の症状が骨盤骨折でないかと心配になった時、まずは整形外科のクリニックや、お近くの救急外来を受診されることをお勧めします。痛みで全く立ち上がれないという時には救急車での受診が適切でしょう。歩いての受診が可能で、結果的に骨折ではなく筋肉や靱帯の問題であればクリニックで対応が可能です。実際に医療機関を受診された後は、骨盤骨折の診断は診察とレントゲンで行います。場合によってはCTやMRIを補助的に使用します。もし診断が骨盤骨折で手術が必要そうな場合には、レントゲンやその他行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書(紹介状)とともに、手術可能な病院を紹介してくれます。

受診先として、総合病院の救急外来は相対的に待ち時間が少ないというメリットもある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることになります(日中は救急外来がやっていない病院もあります)。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多く(待ち時間が長く)、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。

骨盤骨折に関連する診療科の病院・クリニックを探す

骨盤骨折でお困りの方

骨盤骨折の場合、例えば腰の部分の骨に小さなひびが入った、というようなことであれば特に処置は行われません。痛み止めを使用しながらそのまま自然に骨がつくのを待つことになります。一方で、そのままでは骨がつかないような骨折の仕方の場合、その他の部位と違ってギプスで固定することなどができませんから原則は手術が必要です。手術では骨盤の骨を金属でつなげたり補強したりするような手順を取ります。

骨盤骨折そのものの治療は上記のように行われますが、骨盤骨折にともなって内臓も傷ついている場合があり、このような時には緊急手術が必要となります。

ご高齢の方で入院中に筋力が低下してしまったり、以前のように歩くことが難しくなってしまった場合には長期間のリハビリテーションが必要となります。一人で日常生活を行うことができないような場合には、急性期病院から回復期病院(リハビリ病院、療養型病院)に転院して、リハビリを行います。

急性期病院にも一般的にリハビリの施設はついていますが、回復期病院の方がリハビリに専念しやすい環境が整っています。一緒にリハビリを行うことになるのは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったスタッフですが、患者さん一人あたりのスタッフ数や、リハビリ設備(リハビリ室や器具)の充実度といったところが病院を探す上で参考になります。リハビリの回数が1日1回なのか、それとも午前と午後で2回あるのか、1日に受けられるリハビリの総時間、土日はどうかといった点も、回復期の病院を探す上でのポイントとなります。

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