たけつしょう(せっけっきゅうぞうかしょう)
多血症(赤血球増加症)
赤血球が異常に多く作られる病気。骨髄増殖性腫瘍の一種である真性多血症と、他の病気などが原因で起こる二次性多血症がある
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最終更新: 2021.11.23
多血症(赤血球増加症)の基礎知識
POINT 多血症(赤血球増加症)とは
赤血球は血液中に含まれる酸素を運搬する細胞です。多血症は、貧血とは逆に血液中の赤血球が多くなっている状態を指します。多血症では血液が固まりやすく、心筋梗塞や脳梗塞といった血栓症を起こす危険が高くなります。 多血症の原因として骨髄増殖性腫瘍の一種である真性多血症と、他の病気などが原因で起こる二次性多血症があります。二次性多血症に関しては、原因となるそれぞれの疾患の項目をご参照ください。真性多血症では、症状として発熱、体重減少、倦怠感、全身の痒み、骨痛などが見られることがあります。血栓症が起きてしまった場合には、血栓が詰まった部位に応じた症状がでます。真性多血症の診断は採血検査、骨髄検査、遺伝子検査などを用いて行います。真性多血症の治療は瀉血(血液を抜き取る)、血栓を作りにくくする薬を内服する、などがあります。真性多血症が心配な方や治療したい方は血液内科を受診してください。二次性多血症の場合には、原因となる病気を専門とする診療科の受診が望ましいですが、原因となる病気が分かっていない場合は一般内科や血液内科を受診してください。
多血症(赤血球増加症)について
多血症(赤血球増加症)の症状
多血症(赤血球増加症)の検査・診断
多血症(赤血球増加症)の治療法
二次性 多血症の場合には、原因となる病気の治療を最優先に行うことが原則- 真性多血症は生命
予後 は良好なものの、死因の約半数が心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症 によるものであり、血栓症の予防が最重要 - 薬物療法その他
- 瀉血:血液を抜き取る
- アフェレーシス(血漿の中から特定の物質を取り除く治療):
赤血球 を取り除く 抗血小板薬 :血液をサラサラにする薬を内服する- アスピリン(バイアスピリン®など)がしばしば使われる
- 血栓症を起こしにくいと予想される人の場合には、アスピリンの内服と瀉血のみの治療が行われることが多い
- 細胞減少療法
- ヒドロキシウレア(ハイドレア®)を内服して血球を減らす
- 分子標的薬(JAK阻害薬)
- ルキソリチニブ(ジャカビ®)という新規の
抗がん剤 が2015年から使えるようになった内服薬
- ルキソリチニブ(ジャカビ®)という新規の
インターフェロン アルファ- 妊婦や妊娠を希望している人、40歳未満の場合には使われることがある注射薬
- 治療目標
- 血栓症を起こさないことが最も大事な目標
- 血液の濃さを表すヘマトクリット(Ht)を0.45未満にすると血栓症が起こりにくい
- 稀に真性多血症から急性白血病へ変化するケースなどもあり注意を要する
多血症(赤血球増加症)に関連する治療薬
ルキソリチニブ(JAK阻害薬)
- JAKという血液系細胞の分化や増殖などに関わる酵素を阻害することで、骨髄線維症や真性多血症などの症状を改善する薬
- 骨髄線維症や真性多血症などの骨髄増殖性腫瘍は造血幹細胞の異常により、骨髄系の細胞の異常な増殖などを引き起こす
- 骨髄増殖性腫瘍の病因にはJAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素の異常な活性化などが深く関わっているとされる
- 本剤はJAK(JAK1及びJAK2)を阻害する作用をあらわす