ういるすせいかんえん
ウイルス性肝炎(総論)
肝炎ウイルスの感染によって起こる、肝臓が炎症を起こした状態
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最終更新: 2017.12.06
ウイルス性肝炎(総論)の基礎知識
POINT ウイルス性肝炎(総論)とは
肝炎ウイルスによって肝臓に感染の起こった病気です。肝炎ウイルスはタイプによって経過が異なるため、原因となっているウイルスを把握することは大切です。主な症状は、発熱・倦怠感・食欲低下などですが、重症になると右肋骨周囲の痛み・黄疸(皮膚や目が黄色くなる)・腹水貯留などが起こります。 血液検査でウイルスの存在を確認して診断します。治療には抗ウイルス薬を使用することになります。また、A型・B型・E型肝炎ウイルスにはワクチンが存在するため、これを打つことは重要です。ウイルス性肝炎が心配な人や治療したい人は、消化器内科や感染症内科を受診して下さい。
ウイルス性肝炎(総論)について
- 肝炎
ウイルス の感染によって起こる、肝臓が炎症 を起こした状態- 急性肝炎と慢性肝炎に分けられる
- A, B, C, D, E型の5種類のウイルスの感染によって起こる(詳細はそれぞれの疾患を参照)
- 感染経路
- ウイルス性肝炎で起こる一般的な症状(詳細はそれぞれの疾患を参照)
- 食欲不振
- 吐き気、嘔吐
- 発熱
黄疸 (眼や皮膚が黄色くなる)- 右上腹部(肝臓の位置)の痛みを伴うこともあるが、そのようなはっきりとした症状はまれ
- 治療法は、感染したウイルスの種類や、急性か慢性かで異なる
- 肝炎では症状が落ち着いても、完治とは異なる「キャリア」と呼ばれる状態になることがある
- キャリアとは、症状はないがウイルスに感染している人のこと
- 自身に病気が
発症 してはいないが、人にウイルスをうつす可能性がある
- 自身に病気が
- キャリアとは、症状はないがウイルスに感染している人のこと
- 予防のためのワクチン
ウイルス性肝炎(総論)に関連する治療薬
B型肝炎ウイルス治療薬(内服薬)
- B型肝炎ウイルス(HBV)の増殖に必要な酵素の働きを阻害し抗ウイルス作用をあらわす薬
- B型肝炎はHBVの感染によっておこり、慢性化し進行すると肝硬変や肝がんがおきやすくなる
- HBVが肝臓細胞で増殖するにはDNAポリメラーゼという酵素が関わっている
- 本剤はDNAポリメラーゼを阻害しHBVの増殖を抑える抗ウイルス作用をあらわす
- DNAなどは核酸と呼ばれるため、本剤は核酸アナログ製剤とも呼ばれる
C型肝炎ウイルス治療薬(内服薬)
- C型肝炎ウイルス(HCV)の増殖を抑えることでC型肝炎を治療する薬
- C型肝炎はHCVの感染で発症し、慢性化すると肝硬変や肝がんがおこりやすくなる
- HCVは遺伝情報をもつRNAの複製などを行うことで増殖する
- 本剤はHCVの増殖に必要なRNAの複製などに関わる酵素を阻害することなどにより抗ウイルス作用をあらわす
- 薬剤のHCVに対する作用によって一般的に以下の種類などに分けられる
- HCV複製に関わるRNAポリメラーゼを阻害する薬
- HCV複製に関わるプロテアーゼを阻害する薬
- HCV複製に必要なHCV複製複合体の形成に重要な非構造蛋白5A(NS5A)を阻害する薬
グリチルリチン製剤
- グリチルリチン酸の効果により、肝臓の働きを改善したり皮膚の炎症などを抑える薬
- グリチルリチン酸は生薬の甘草(カンゾウ)などに含まれる成分
- グリチルリチン酸は体内で様々な作用をあらわす
- グリチルリチン酸には、抗炎症作用、免疫調節作用、肝細胞増殖作用などがあるとされる
ウイルス性肝炎(総論)の経過と病院探しのポイント
ウイルス性肝炎(総論)が心配な方
ウイルス性肝炎には、A型肝炎からE型肝炎までの種類があり、その中でもB, C型肝炎には急性肝炎と慢性肝炎があります。A, D, E型肝炎は急性肝炎のみです。急性肝炎ではだるさや熱、時に黄疸などが出ますが、症状や経過は肝炎ウイルスの種類によって少しずつ異なるため、詳しくはそれぞれの疾患のページをご覧ください。
ウイルス性肝炎の診断、治療は消化器内科で行います。もし症状があって、何らかの理由でご自身がウイルス性肝炎でないかご心配の場合には、近くの内科、もしくは消化器内科のクリニックを受診することをお勧めします。