D型肝炎を新薬ロナファルニブで治療、ウイルスを減らす効果

ウイルス性肝炎の中でもD型肝炎にはワクチンがありません。新たな治療薬としてロナファルニブの効果が試され、28日間の治療でD型肝炎ウイルスの量を少なくする効果が見られました。
◆D型肝炎とは
D型肝炎
◆感染者に用量を変えて使用
研究班は次のように、D型肝炎ウイルスの感染者をロナファルニブで治療しました。
この第2A相二重盲検ランダム化偽薬対照研究において、慢性HDV感染のある18歳以上の患者がランダムに(グループ1については3:1に、グループ2については2:1に)割り付けられ、ロナファルニブ100mg(グループ1)またはロナファルニブ200mg(グループ2)を1日2回、28日にわたって使用したのち、6か月のフォローアップを受けた。
対象者はランダムにグループ分けされ、それぞれ偽薬またはロナファルニブで治療されました。ロナファルニブで治療するグループはさらに2グループに分けられ、薬の量を変えて使いました。
◆ウイルス量減少、有害事象は軽度から中等度
試験から次の結果が得られました。
2012年1月19日から2014年4月28日の間に、14人の患者が登録され、そのうち8人がグループ1に、6人がグループ2に割り付けられた。治療28日目で、偽薬と比べて、ベースラインからのHDV RNA量の対数の減少量の平均はグループ1で-0.73logIU/mL(95%信頼区間0.17-1.31、P=0.03)、グループ2で-1.54logIU/mL(95%信頼区間1.21-1.93、P<0.0001)だった。
有害事象はおもに軽度から中等度であり、グループ1の患者では下痢が3人(50%)、吐き気が2人(33%)に起こり、グループ2では全員(100%)に吐き気・下痢・
腹部膨満 感・2kgを超える体重減少(平均4kg)が起こった。
偽薬のグループと比べて、ロナファルニブで治療するグループでは28日の治療後のウイルスの量が、治療開始時点と比べて少なくなっていました。用量が多いグループでも少ないグループでも、ウイルスの量が少なくなる変化が見られました。副作用の可能性があることとして、下痢や吐き気など、軽度から中等度の症状などが見られました。
ロナファルニブがD型肝炎の治療法に加わるためには、さらに大規模な研究で効果と安全性を確かめる手順が通常必要です。特に、長期間の治療でD型肝炎ウイルスを根絶できるかどうかが大きな違いになるかもしれません。今後の研究に期待がかかります。
執筆者
Oral prenylation inhibition with lonafarnib in chronic hepatitis D infection: a proof-of-concept randomised, double-blind, placebo-controlled phase 2A trial.
Lancet Infect Dis. 2015 Jul 16 [Epub ahead of print]
[PMID: 26189433]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。