えーらすだんろすしょうこうぐん
エーラス・ダンロス症候群
遺伝子の変異によって体内でコラーゲンが正常に合成されなくなる病気。皮膚、関節、血管などさまざまな場所の組織がもろくなる病気
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最終更新: 2022.04.15
エーラス・ダンロス症候群の基礎知識
POINT エーラス・ダンロス症候群とは
遺伝子の変異によって体内でコラーゲンが正常に合成されなくなる病気です。皮膚・関節・血管などさまざまな場所の組織がもろくなります。皮膚や関節、血管などがもろくなってしまうことによって、皮膚が伸びやすくなる・脱臼する・血管が裂けるなどが起こります。 症状や身体診察に加えて画像検査・超音波検査などを行い、病変のある組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査を用いて診断します。根治する治療はないため、症状を和らげる治療(対症療法)を行います。エーラス・ダンロス症候群が心配な人や治療したい人は、循環器内科・小児科・小児外科を受診してください。
エーラス・ダンロス症候群について
- 遺伝子の変異によって体内でコラーゲンが正常に合成されなくなり、皮膚、関節、血管などさまざまな場所の組織がもろくなる病気
- コラーゲンは体内で合成されるタンパク質
- 全身の臓器を作る要素になっているため、コラーゲンに異常があるとさまざまな臓器に
症状 が現れる
- 体内のコラーゲン合成に関わる
酵素 の遺伝子変異が原因と言われている - 出生5000人あたり1人程度
- 古典型、関節可動性亢進型、血管型ほか多くのタイプがある
- 難病に指定されており、申請を行えば治療を行う際の医療費の補助を受けることができる
エーラス・ダンロス症候群の症状
- 古典型の
症状 - 皮膚の過伸展(つまむと伸びやすい)
- 脆弱性(傷つきやすく傷跡が残りやすい)
- 皮下球状塊(前腕、すねの皮下にできる数mmの硬い塊)
- 関節の脆弱性(正常よりも広く動く、脱臼しやすい)
- 血管の脆弱性(内出血しやすい)
- 関節可動性亢進型の症状
- 関節の脆弱性が中心
- 血管型の症状
- 小さい関節が脱臼しやすく
- 特徴的な顔(薄い唇と人中、小さい顎、細い鼻、大きな眼)
- 皮膚の下の静脈が透けて見える
- 出血しやすい
- より重篤化した場合
- まれに起こりうる症状
エーラス・ダンロス症候群の検査・診断
- 画像検査:
心臓超音波検査 :心臓の大きさや弁の性状を評価するCT 検査:血管の太さや気胸の有無などを評価するMRI 検査:血管や関節の状態を評価する
- 身体検査と病歴から診断される
- 原因遺伝子が特定されている型では、遺伝子解析で確定診断を行うことができる
細胞診 :皮膚を一部採取し、コラーゲンが足りているかなどを調べる- 針で吸い取って顕微鏡で観察する
エーラス・ダンロス症候群の治療法
- 根本的な治療は難しく、主に
対症療法 が治療の中心となる - 筋肉の成長が遅れる場合は、関節に負担をかけない
理学療法 で成長を促す - 気をつけること
- 皮膚・関節を傷つけないため、激しい運動は控え、サポーターを使用する
- 血管破裂や腸管破裂、妊娠時の子宮破裂などの緊急事態に備え、救急体制へのアクセスを確保しておくようにする