ムンプス髄膜炎の基礎知識
POINT ムンプス髄膜炎とは
おたふく風邪を起こすムンプスウイルスによって髄膜に炎症が起こる病気です。おたふく風邪になった人の3-10%程度が髄膜炎になると考えられています。おたふくかぜの主な症状である耳の下の腫れに加えて、頭痛・首の硬直・嘔吐・けいれん・意識障害などを起こします。 血液検査や髄液検査、CT検査を行って総合的に診断します。治療には特効薬はありませんが、症状を和らげる治療(対症療法)を行います。有効な治療がないため、ワクチンを打って予防することが大切です。ムンプス髄膜炎が心配な人や治療したい人は、小児科・脳神経内科・感染症内科を受診して下さい。
ムンプス髄膜炎について
ムンプス髄膜炎の症状
- ムンプス髄膜炎の症状は、おたふくかぜの特徴である「両耳の下の腫れ」が出現し、5日ほど経過して出ることが多い
- 腫れが出る前に
発症 したり、腫れが出ない場合がある
- 腫れが出る前に
- 主な症状
- 頭痛
- 発熱
- 嘔吐
- 項部硬直
- 髄膜脳炎を
合併 した場合の症状- けいれん
意識障害
- まれにみられる症状
- のどの痛み
- 腹痛
- 下痢
- うわごと
ムンプス髄膜炎の検査・診断
髄液検査 :腰椎穿刺 を行い、単核球(白血球 の一種)を主とする細胞の増加があるかを調べる- おたふくかぜの
発症 時に、頭痛、発熱、嘔吐、項部硬直などの症状が出た場合、ムンプス髄膜炎が合併 している可能性がある
ムンプス髄膜炎の治療法
ムンプス髄膜炎の経過と病院探しのポイント
ムンプス髄膜炎が心配な方
ムンプス髄膜炎は大きく病状に幅のある病気です。おたふくかぜで通常見られるような微熱と軽い頭痛程度で、それでもいつの間にか自然に治っているという場合もそれなりの割合であると考えられています。軽いものであればこのように、診断もつかないうちに治ってしまいます。一方で重症のものでは意識がもうろうとして動けなくなってしまったり、全身がけいれんしたりといった場合もある病気です。
おたふくかぜ後で、上記のような症状に該当して髄膜炎がご心配な方は、病院の小児科、または救急科の受診をお勧めします。
診断のためには腰椎穿刺といって、背中から針を刺して背骨の内側にある髄液を採取することが必要です。一般的なクリニックでは、ムンプス髄膜炎の可能性があれば「病院へ行って検査を受けてください」と言われてしまいますので、診断のためには総合病院の受診が適切です。ただし、余裕がある状況であれば本当にムンプス髄膜炎かどうか、ある程度の当たりをつけてもらうためにクリニックをまず受診して判断を仰ぐという対処法もあります。
レントゲンやCTなどの画像検査でムンプス髄膜炎を診断することはできませんが、他の病気でないことを確かめるために頭部CTの撮影が必要になることがあります。
ムンプス髄膜炎でお困りの方
ムンプス髄膜炎の治療の基本は対症療法です。脱水にならないよう水分摂取に気をつけて安静にします。熱が出れば解熱薬、吐き気が出れば吐き気止めを使用して、自然に治るのを待つことになります。
治療の大半は安静にして自然と治るのを待つ、ということもあります。先述の通り、ムンプス髄膜炎だと診断がつかないままいつの間にか治ってしまっている方もいると思われる病気です。しかし、病院でムンプス髄膜炎だと診断がつけば、入院の上で治療を行うことになります。特別な治療ができるわけではありませんが、重症化した場合には集中治療室での治療が必要となることもあるため、そうならないことを確認したり、重症化したとしても早期に発見して適切に対応できるようにしたりするための入院です。その意味で、やはりクリニックではなく総合病院の受診をお勧めします。なお、重症化した場合の治療は、呼吸が苦しくなれば酸素吸入や人工呼吸器、脱水がひどくなれば点滴など、やはりこちらも対症療法を超える根本治療はありません。