手指伸筋腱損傷の基礎知識
POINT 手指伸筋腱損傷とは
指を伸ばす筋肉の腱が損傷することです。突き指やリウマチにともなうことがあります。手指筋腱損傷が起こると、指が伸ばせなくなったり、腫れたり痛んだりします。レントゲン(X線)検査やCT検査によって骨折の有無を調べ、MRI検査で腱の状態を確認します。腱が部分的につながっている場合は手術を行わずに様子を見ることもありますが、腱が断裂している場合には手術で腱をつなぎ治します。手指筋腱損傷が心配な人は整形外科を受診してください。
手指伸筋腱損傷について
手指伸筋腱損傷の症状
- 指が伸ばせなくなる
- 指が腫れる
- 指の痛み
手指伸筋腱損傷の検査・診断
レントゲン (X線 )検査:骨折の有無を調べるCT 検査:レントゲンではわからない骨折の有無を調べるMRI 検査:腱の状態を調べる
手指伸筋腱損傷の治療法
- 腱が部分的につながっていれば、手術を行わずに様子を見ることもある
- 手術
- 腱
縫合 術:切れた腱どうしを縫い合わせる - 腱移行術:切れた腱を近くの腱とつなぎ合わせる
- 腱移植術:切れた腱に他の腱を移植する
- 腱
- リハビリテーション
- 指を伸ばす働きを改善する
- 術後のリハビリ期間は12週間前後となることが多い
手指伸筋腱損傷の経過と病院探しのポイント
手指伸筋腱損傷が心配な方
手指伸筋腱は、手の指を伸ばすための腱です。これが切れてしまうと指が伸びなくなってしまうため、手術で腱を繋ぎ直す必要があります。指から手の甲を通って手首のところまで長い腱が通っていますので、この間のどこかでケガをすると手指伸筋腱損傷に至る可能性があります。
手から手首周囲にケガを負って指が伸びない場合には、まずは整形外科のクリニックや、お近くの救急外来を受診されることをお勧めします。深い切り傷があったりするような場合には、痛みがあってそもそも指を伸ばそうと十分にできないことがあるため、自分では指が伸ばせるかどうかを判断しづらいことが多いです。整形外科や救急専門の医師であれば、腱の損傷がないかどうか、骨折がないかどうかの判断の他に、皮膚の縫合などの処置が可能です。
受診先として、総合病院の救急外来は相対的に待ち時間が少ないというメリットもある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることになります(日中は救急外来が開いていないこともあります)。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多く(待ち時間が長く)、また診療情報提供書(紹介状)を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。
実際に手指伸筋腱損傷だった場合には手術が必要となります。この手術は、一刻を争うということは必ずしもなく、ケガをしてから1-2週間以内であれば後からの手術も可能な場合があります。あえて待つ必要はもちろんないのですが、最初に受診した医療機関で全てが決まってしまうという心配はありません。手の手術を行っていない医療機関では、近くでそのような処置を行っている病院を紹介してくれますので、まずは近くの医療機関を受診して判断を仰ぐのが良いでしょう。
手指伸筋腱損傷でお困りの方
診断の結果が指の伸筋腱損傷だった場合、切れてしまった腱を縫い合わせる手術が必要です。これには一般の整形外科医ではなく、「手の外科」という分野を専門としている医師が適しています。筋肉や骨、腱の処置を専門とするのが整形外科医ですが、手の手術にはより繊細で特別なスキルを要するために手外科専門医という認定資格が設けられています。
手術の後には手に添え木を当てて指の動かせる範囲を固定する期間と、リハビリテーションを行う期間があります。そこでは作業療法士などのリハビリテーションの専門家と連携しながら進めていくことになります。