にょうかんしゅよう
尿管腫瘍
尿管(腎臓と膀胱をつなぐ尿の通り道)にできた腫瘍のこと
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最終更新: 2025.02.12
尿管腫瘍の基礎知識
POINT 尿管腫瘍とは
腎臓と膀胱をつないでいる「尿管」にできた腫瘍の総称です。そのほとんどが尿管がんです。喫煙や一部の化学物質などが発病の危険性を高めることが知られています。痛みのない血尿や背部痛などが症状として現れます。尿管腫瘍の可能性がある人には、尿検査やCT検査などが行われます。主な治療法には手術や抗がん剤治療があり、進行度に応じて適したものが選ばれます。尿管腫瘍が心配な人は泌尿器科で相談してください。
尿管腫瘍について
尿管 (尿の通り道)にできた腫瘍 のこと- 腎臓で作られた尿は
腎盂 、尿管を通って膀胱に溜められる - この通り道の粘膜に腫瘍が発生する
- 腎臓で作られた尿は
- 喫煙や、化学物質などが原因となることがある
- ほとんどが
悪性腫瘍 で尿管がんが多数を占める
尿管腫瘍の症状
血尿 - 血尿は80%以上でみられる
- 腰や背中の痛み
- 水腎症による
症状
- 水腎症による
尿管腫瘍の検査・診断
- 尿検査
- 尿中に血液が含まれるか調べる
腹部超音波検査 - 腎臓や膀胱の状態を調べる
腹部CT検査 - 腎臓や膀胱の状態を詳しく調べる
CT ウログラフィーという特殊な方法で腫瘍 の位置を特定する
- 静脈性尿路
造影 - 注射で造影剤を体の中にいれて尿路を観察する
- 逆行性
腎盂 尿管 造影検査- 尿管口から造影剤を入れてから、おなかの中を調べる
- 同時に尿管の近くから尿を取り出し調べることができる
- 病理検査(
尿細胞診 )- 尿の中に
がん 細胞がいるかどうかを観察する
- 尿の中に
内視鏡 検査(尿管鏡)- 尿道から内視鏡を入れて、膀胱・尿管の中を調べる
尿管腫瘍の治療法
良性腫瘍 の場合- 水腎症になっていれば、
腫瘍 の切除や、ステント の挿入などにより尿路を確保する - 良性腫瘍はかなり珍しい
- 水腎症になっていれば、
悪性腫瘍 の場合転移 がない場合- 手術で腎臓、
尿管 、膀胱壁を切除する
- 手術で腎臓、
- 転移がある場合
化学療法 (抗がん剤 を使う治療)が行われることが多い
5年生存率 (悪性腫瘍の場合)- 表在
がん (がんが筋層まで浸潤していない)の場合は80% - 浸潤がん(がんが筋層あるいは筋層を超えて浸潤していない)の場合は30%
- 表在
- 転移のある場合は
予後 (その先の見通し)が悪い
尿管腫瘍の経過と病院探しのポイント
尿管腫瘍が心配な方
尿管腫瘍の診断及び治療は泌尿器科で行われます。心配な症状がある人は泌尿器科を受診してください。持病でかかりつけ医がいる人は、泌尿器科を紹介してもらってください。治療は手術ができる医療機関で行いますが、ほかの病気の可能性もあるため、最初から大きな医療機関を受診する必要はありません。最初は、クリニックで超音波検査や尿細胞診などを受けて、原因について調べてもらうのもよい選択です。
尿管腫瘍でお困りの方
尿管腫瘍は多くの場合、腎臓も摘出する手術(腎尿管全摘除術)が必要になります。稀な手術ではないので、多くの医療機関で実施できますが、可能であれば手慣れた医療機関で受けるのが望ましいと考えます。医療機関では手術の件数をウェブサイトで公開しているので、いくつかの医療機関を比較してみるのが、治療件数の多い医療機関を探す手がかりになるかもしれません。
尿管腫瘍のタグ
尿管腫瘍に関わるからだの部位
