しきゅうけいかんえん
子宮頚管炎
子宮の下部にある頸管の粘膜が、炎症を起こしている状態。
6人の医師がチェック 92回の改訂 最終更新: 2020.07.26

子宮頚管炎の基礎知識

POINT 子宮頚管炎とは

子宮の下部にある頸管の粘膜が炎症を起こしている病気です。性行為などによって子宮頸管に侵入してきた細菌に感染することで起こります。原因微生物は、通常の細菌や性病の原因菌などになります。主な症状は、性交時の痛み・おりものの増加・発熱・下腹部痛などです。血液検査・細菌検査などを行って診断します。治療は原因微生物に有効な抗生物質等を用いて行います。子宮頸管炎が心配な人や治療したい人は、産婦人科や感染症内科を受診して下さい。

子宮頚管炎について

  • 子宮の下部にある頚管の粘膜が、何らかの病原体に感染して炎症を起こしている状態
    • 子宮頚管は腟と同様に感染を受けやすい部位で、特に性交後に、腟から病原体が感染して起こるものが多い
    • 腟炎から病原体が子宮頚管まで上ってきて炎症を起こすケースも多い
  • 主な原因
  • その他の原因としてアレルギーや異物による損傷、加齢などがある
  • 50%以上の女性が子宮頚管炎にかかった経験があると言われている
    • 出産したことのある女性の場合では60%以上
  • 経過によって主に急性と慢性に分けられる
    • 慢性化すると不妊症のリスクが高くなるので、違和感を感じたら早めに検査することが望ましい

子宮頚管炎の症状

  • 主な症状
    • おりものの増加および臭気
    • 接触痛(性交時の痛み)
    • 発熱
  • 急性の場合
    • 頚管腺からの粘液分泌が増える
    • の混じったおりもの
  • 急性で炎症が激しい場合
    • 周囲にも感染と炎症が広がり骨盤腹膜炎となることがもある
      • 発熱、強い下腹部痛や腰痛など
    • 淋菌による感染は症状が重症化しやすいことが知られている
  • 慢性の場合
    • 炎症の持続的刺激により頚管腺の分泌が増える
    • 頚管腺の組織が増殖し、子宮頚部が厚くなる
    • ネバネバした濃い黄白色のおりもの
    • 腰痛
    • 性交痛

子宮頚管炎の検査・診断

  • 血液検査
  • その他の検査
    • 顕微鏡検査:トリコモナスカンジダ細菌の形の診断を行うため
    • 細胞診:主に子宮頚癌との鑑別診断を行うため
    • 細菌培養検査:おりものを培養して細菌の有無を確かめる
    • ウイルス分離、細菌検査(DNA法/PCR法):ヘルペス感染症が強く疑われる際の、ウイルスの検出検査

子宮頚管炎の治療法

  • 基本的な治療は、原因ごとに必要な薬物療法
  • 主に用いられる薬剤
    • 抗菌薬
    • 真菌
    • ウイルス
    • 原虫
  • 急性頚管炎の治療
    • 性交を控える(頚管部の安静が必要なため)
    • 抗菌薬を含んだ腟錠の使用や抗菌薬、消炎薬を飲む
    • 炎症が激しく、下腹部の痛みや発熱を伴う場合は入院し、抗菌薬の点滴や鎮痛薬などの治療を必要とすることがある
  • 慢性頚管炎の治療
    • 抗菌薬を含んだ腟錠の使用
    • 高齢者の場合、同時に女性ホルモンを含んだ腟錠を併用することもある
  • 予防、再発予防方法
    • なるべく腟内を清潔に保つよう心がけることが予防となる
  • 長期的な経過
    • 専門医師による適切な治療が早期に行われれば、早い回復が見込める
    • 感染が長引いて不妊症になることを防げる

子宮頚管炎に関連する治療薬

卵胞ホルモン製剤(エストロゲン製剤)

  • 卵胞ホルモンを補充し、更年期障害によるほてり、発汗などの症状や不妊症、卵巣欠落症状などを改善する薬
    • 更年期障害では卵胞ホルモン(エストロゲン)が減ることで自律神経失調や精神症状がおこる
    • 更年期障害では、血管運動症状(ほてり、発汗など)や冷え、不眠、疲労感などがあらわれる
    • 卵巣機能不全による不妊症や卵巣摘出による卵巣欠落症状などでは卵胞ホルモンの不足がおこる
  • 薬剤よっては不妊治療や骨粗しょう症に使用する場合もある
  • 薬剤によって剤形が内服薬、貼付剤、塗布剤など様々であり各製剤毎に適切な使用方法などの理解が必要となる
卵胞ホルモン製剤(エストロゲン製剤)についてもっと詳しく

子宮頚管炎のタグ

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