げんぱつせいあるどすてろんしょう
原発性アルドステロン症
高血圧のうち、腎臓の上にある副腎という臓器が原因で生じるもの。全高血圧症患者のうち、5-10%がこれに当てはまる。
15人の医師がチェック 112回の改訂 最終更新: 2021.05.14

原発性アルドステロン症のよくある疑問点について

薬物療法を選択した人は薬を一生涯飲み続ける必要があります。手術を行った場合、多くで薬を減量をすることができ、40%の人で薬の治療が必要なくなります。原発性アルドステロン症は珍しい病気ではなく、高血圧症の約3-10%が原発性アルドステロン症であると言われています。

1. 薬物療法を選択した場合:薬は飲み続けなければいけないか

原発性アルドステロン症で薬物療法を選択した場合には、薬を一生涯を飲み続けなければなりません。薬を使って血圧が正常化した場合でも、中止すると血圧が再度上昇してしまうことが多いためです。

また、アルドステロンは血圧の値と関係なく、直接、心臓に悪さをすることが知られています。このアルドステロンの心臓に対する悪い影響を抑えるためにも、アルドステロン拮抗薬の内服継続が推奨されます。

2. 手術治療を選択した場合:どれくらいの人が薬を中止できるか

副腎腺腫が原因の原発性アルドステロン症では手術を選択することも可能です。もし、手術を選択した場合には、40%の人で高血圧治療薬が必要がなくなると言われています。

原因である副腎を取ったとしても高血圧治療薬が必要な人がいる理由としては、血圧の上昇が原発性アルドステロン症だけでなく、年齢や過剰な塩分摂取など様々な原因が重なり合って起こるためです。ただ、手術をすることで薬の中止まで至らなくとも、薬の減量ができることが多いです。

参考文献:わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント(2020.4.21閲覧)

3. 高血圧症で行う生活習慣の改善は有効か

原発性アルドステロン症は高血圧症を引き起こす病気です。原発性アルドステロン症以外の高血圧症では塩分を制限する食事療法、定期的な有酸素運動を行う運動療法により、薬物療法を行わずとも、改善することができることがあります。しかし、原発性アルドステロン症の人は生活習慣の改善するだけで血圧を正常にするのは難しく、根本の原因であるアルドステロンの産生を抑えたり、効きを弱くするために、手術や薬物療法を行う必要があります。

4. 原発性アルドステロン症はどれくらいの患者数がいるか

原発性アルドステロン症の正確な患者数はわかっていませんが、高血圧症の約3-10%が原発性アルドステロン症であると言われています。2017年の厚生労働省の調査では高血圧症の患者数は約1000万人であり、30-100万人の原発性アルドステロン症の人がいると予想されます。決して珍しい病気ではありません。

【参考文献】

わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント
厚生労働省2017年患者調査

(2020.4.21閲覧)

5. 原発性アルドステロン症は遺伝するか

原発性アルドステロン症の中には家族に遺伝するタイプである家族性高アルドステロン症という珍しい病気もありますが、原発性アルドステロン症のほとんどは遺伝しないタイプです。ご家族に原発性アルドステロン症の人がいた場合でも、心配する必要はほとんどありません。