きりつせいていけつあつしょう
起立性低血圧症
座っていたり寝ている状態から立ち上がった時に、血圧が急に下がりめまいや失神を起こす状態
13人の医師がチェック 163回の改訂 最終更新: 2024.01.23

起立性低血圧症の検査:シェロング試験、ヘッドアップティルト試験

起立性低血圧症であるかは問診や身体診察によりある程度判断ができます。起立性低血圧症が強く疑われる人には、シェロング試験やヘッドアップティルト試験を行います。これらの試験では姿勢が変わることによる血圧の変化を測定できます。

1. 問診

問診とは医師などの質問に答える形で身体の状態や生活背景を伝えることをいいます。起立性低血圧症の人は以下のポイントをよく聞かれます。

  • どのような症状があるか
  • どういう時に症状が現れるか
  • 家族に同じような症状の人がいるか
  • 持病には何があるか
  • 飲んでいる薬は何かあるか
  • アレルギーがあるか

起立性低血圧症では立ち上がった際や長時間立っている時などに起こるため、症状がいつ起きたかは非常に重要な情報です。また、例えば、脱水気味の時に起立性低血圧症が起きた場合には、水分摂取が治療に必要といったように状況が治療に結びつくこともあります。パーキンソン病糖尿病などの持病や飲んでいる薬によって起立性低血圧症が起こることがあるので、これらも大事な情報です。医師に症状や生活背景を聞かれたら、わかる範囲で構いませんので、診察時に説明するようにしてください。

2. 身体診察

問診に引き続いて身体の状況を客観的に評価することを身体診察といいます。起立性低血圧症では心臓の問題がないか確認するために心臓の音を聴いたり(聴診)、神経の状態が問題ないかを確認するための診察(神経学的診察)が役立ちます。もし、問診や身体診察から起立性低血圧症が疑われる場合には、次に述べる血圧測定やヘッドアップティルト試験で診断が行われます。

3. 起立時血圧測定(シェロング試験)

起立性低血圧症は立ち上がった際に血圧が保てず、脳への血流が低下することで起こります。そのため、寝てる状態と立ち上がった状態での血圧を測定することが診断の鍵になります。もし、立ち上がってから3分以内に寝ている時の血圧に比べて次のようになったら、起立性低血圧症の診断となります。

  • 上の血圧収縮期血圧)が20mmHg以上低下する
  • 上の血圧が90mmHg以下を下回る
  • 下の血圧拡張期血圧)が10mmHg以上低下する

4. ヘッドアップティルト試験

ヘッドアップティルト試験は、検査台を使って身体の姿勢が変わった時の血圧の変化を測定する検査です。具体的な検査の流れは以下の通りです。

1. 傾きを変えられる検査台に仰向けで寝ます
2. 身体を検査台にベルトで固定します
3. 血圧計や心拍数を装着し、血圧と心拍数を常時計測できるようにします
4. 検査台が起き上がり、立ち上がった姿勢になります
5. 血圧を繰り返し測定し、血圧の変化がないかを確認していきます

大体の検査時間は1時間程度です。検査中は医師が立ち会いのもと検査が進められます。もし、検査中に気分が悪くなった場合には、すぐに声をかけるようにしてください。

5. 血液検査

血液検査は起立性低血圧症の診断に直接結びつくわけではありません。ただ、起立性低血圧症の原因の推定に役立つことがあるので行われることが多いです。例えば、原因となるような貧血がないかを調べることができますし、脱水を見つけられることもあります。

起立性低血圧症で必要になる検査項目の多くは大きな病院であれば、当日中に結果が出ることが多いです。