きんだんれつ(にくばなれ)
筋断裂(肉離れ)
筋肉の線維が切れること。スポーツや重労働など、急激に力を入れることで、筋肉が耐えきれずに線維が断裂する
6人の医師がチェック 100回の改訂 最終更新: 2022.03.22

筋断裂(肉離れ)の検査について:身体診察、MRI検査など

筋断裂とは、スポーツなどで強い負荷を受けた筋肉が耐えられずに、筋線維が切れてしまうことです。通常、筋線維の一部が切れること(部分断裂)を肉離れと呼びます。ここでは、筋断裂(肉離れ)の診断や評価に役立つMRIなどの検査について解説します。

1. 問診、診察

問診では、受傷時の状況について詳しく聞かれます。また、診察では痛みのある部位を観察したり触ったりしてお医者さんが直接調べます。

肉離れは短距離走やテニスなど、急激に脚の筋肉に大きな負担がかかるスポーツでよく発症します。急にかかった大きな力に耐えられずに、筋肉の一部が断裂することが原因です。

部位としては、ほとんどの人がふくらはぎか太ももで肉離れを起こします。このように、スポーツをしている人が脚の典型的な部位に痛みを起こしたとき、肉離れと診断することはお医者さんにとって難しくありません。

肉離れの症状が軽度で、骨折などが考えにくい人では必ずしも検査は行われません。一方で、骨折している可能性もある人や、肉離れが重症と考えられる人、他のケガも被っているかもしれない人、などでは以下のような検査が行われることもあります。

2. レントゲン(X線)検査

レントゲンX線)検査は手軽に行えるため、整形外科を受診したときに最もよく行われる検査です。レントゲン検査では骨の異常が手軽に確認できるものの、筋肉の状態は分かりません。そのため、筋肉など骨以外の異常も確認する必要がある人では、レントゲン検査に加えてMRI検査がよく行われています。

3. MRI検査

MRI検査は肉離れの有無や程度を詳しく調べるのにとても有用で客観的な検査です。筋肉だけではなく、腱、靭帯、骨、軟骨などの様子も分かるため、レントゲン検査や超音波検査にに加えて行われることがよくあります。診療所やクリニックではMRI装置があることは珍しいため、検査の際には専門の検査センターや病院に紹介されることが多いです。

検査費用は3割の自己負担の人では4,000円から5,000円ほどです。やや高価であるため、診察やその他の検査で十分と考えられる人には必ずしもMRI検査は行われません。

4. CT検査

CT検査では放射線を用いて身体の断面図を撮影します。レントゲン検査では分かりにくい小さな骨の異常も見つけられます。そのため、レントゲン検査に追加してCT検査も行われることがありますが、筋肉や腱(けん)などの異常を見つけるのはCT検査でも容易ではありません。したがって、肉離れに対する検査としてはMRI検査のほうが多く行われています。

またCT検査は、すぐに問題になるような量では決してないものの、放射線被曝のある検査なので、子どもでは特にそのリスクも考慮されます。

5. 超音波検査

超音波(エコー)検査は、お医者さんや技師さんがゼリーを塗った探触子(プローブ)を直接身体に当てて行う検査です。リアルタイムでさまざまな角度から身体の内部の様子を観察できます。検査時間はさまざまですが、5分前後で済むことが多いです。とても便利な検査ではありますが、熟練した検査者が行わないと正確に異常を検出できないことがあります。

MRI検査と比較すると、筋肉の様子を隅々まで観察したりする能力では超音波検査は劣ります。しかし肉離れの程度や、肉離れに伴う筋肉内の出血の程度を手早く把握するのに超音波検査は適しています。