偽痛風のよくある疑問点について
偽痛風と痛風は症状が似ていますが、原因となる物質、かかりやすい人、症状の出やすい部位が異なります。関節の痛みや高熱により動けなくなって入院になってしまう人もいますが、治療後の回復は早く見通しは良い病気です。心配な人は内科か整形外科のお医者さんと相談してください。
1. 偽痛風と痛風の違い
偽痛風と痛風はよく似た病気です。ともに、急に関節が痛くなったり腫れたりするなどの症状があらわれます。ただし、偽痛風と痛風の間にはいくつか異なる点があります。
1つ目は原因となる物質です。偽痛風はピロリン酸カルシウムが関節で結晶を作ることで
2つ目の異なる点は
そして最後に症状の出やすい関節も異なります。偽痛風は膝、手首、首などに症状が出やすいです。これに対し痛風は足の指の付け根や足首に症状が出やすいです。
これらの違いは偽痛風と痛風を見極めるうえでも役立ちます。例えば、高齢者で急に膝が腫れてきた場合には偽痛風がまず疑われ、もともと尿酸値が高い若い男性の関節が急に腫れた場合は痛風が疑われる、といった具合です。また、関節液検査でピロリン酸カルシウムが見つかれば偽痛風、尿酸が見つかれば痛風と診断されます。
【偽痛風と痛風の異なる点】
病名 | 原因となる物質 | かかりやすい人 | 症状の出やすい部位 |
偽痛風 | ピロリン酸カルシウム | 50歳以上 女性 |
膝、手首、肩、首 |
痛風 | 尿酸 | 30-70歳 男性 |
足の親指の付け根、足首 |
参考文献(2020.2.13閲覧)
・日本痛風・核酸
2. 病気の予後(見通し)について
偽痛風は見通しの良い病気です。再発をすることなく生涯に1回きりで済む人が多いです。再発を繰り返す人もまれにいますが、その場合も命に関わることはほとんどありません。
3. 偽痛風が心配な人は何科に行けば良いか
偽痛風を専門にするのは内科や整形外科です。偽痛風は珍しい病気ではなく、大きな病院でなくても診断や治療を受けることが可能なので、もし関節の腫れや痛みを自覚した場合にはお近くの医療機関を受診するようにしてください。
4. 入院は必要か
偽痛風は入院となってしまうことが多いです。高齢者に多く、関節の痛みや高熱により動けなくなってしまうことが理由です。ただ、治療をすれば数日で良くなるので、入院期間は1週間から2週間程度と長くならないことが多いです。
5. リハビリはどうしたら良いか
偽痛風により動けなくなってしまい筋力が落ちてしまった人は、リハビリが必要になることがあります。リハビリの内容としては、関節の痛みや腫れがあるうちは関節を動かさずに筋力をなるべく維持できるトレーニングを、痛みや腫れが取れてきたら関節を動かしながらのトレーニングを行っていきます。退院した後も、リハビリ施設へ通ったり、リハビリスタッフが自宅に訪問する形で継続することが可能なので、もし退院後も筋力が戻らず生活に不便さを感じる人は、担当のお医者さんと相談してみてください。
6. 遺伝はするか
偽痛風は遺伝性はほぼない病気と考えられています。もし、自分が偽痛風であったとしても子どもへの遺伝を心配しすぎる必要はありません。