妊娠中の運動についての研究まとめ
ここで紹介する研究は、妊娠中の運動によって早産の危険性が増えるかどうかについて、過去に行われた研究報告をまとめたものです。
2016年4月までに報告された研究が調査対象とされました。採用基準として、対象者は妊娠時に持病や妊娠にともなう問題がなく、通常体重で、双子などの多胎妊娠ではない人とし、明らかに産科的理由で運動してはいけない人を除くこととしました。また、対象者が妊娠23週より前に研究に参加し、有酸素運動をする場合としない場合で比較された研究を選びました。
早産にはならず、帝王切開が減った
見つかった研究で、1週間に3回から4回、1回で35分から90分の有酸素運動が試されていました。
運動による効果をまとめると次の結果が得られました。
有酸素運動に割り付けられた女性は、対照群と比べて37週未満の早産の発生率は類似し(4.5% vs 4.4%、相対リスク1.01、95%信頼区間0.68-1.50)、出産時の妊娠週数は類似していた(平均差0.05週、95%信頼区間-0.07から0.17)。
運動群の女性は対照群と比べて経膣分娩の率が有意に高く(73.6% vs 67.5%、相対リスク1.09、95%信頼区間1.04-1.15)、帝王切開となる率が有意に低かった(17.9% vs 22%、相対リスク0.82、95%信頼区間0.69-0.97)。
有酸素運動をした女性で早産が増えることはなく、出産時の妊娠週数は早くも遅くもならず、帝王切開になる割合が少なくなっていました。
また、運動によって妊娠糖尿病などを予防する効果も見られました。
これらの結果から、研究班は「したがって、運動は推奨されるべきである」と結論しています。
妊娠中もほどよい運動を
妊娠中の運動で早産は増えないことが実際に確かめられていました。
とはいえ、「週に3回から4回、35分から90分の有酸素運動」という範囲です。汗まみれになるような激しい運動はこの報告の範囲外です。
お腹が大きくなると動くのがつらい人もいます。運動しなければと考えすぎてストレスがかかっても悪影響があるかもしれません。できる範囲で運動をして、出産に備えてください。
執筆者
Exercise during pregnancy in normal-weight women and risk of preterm birth: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.
Am J Obstet Gynecol. 2016 Jun 16. [Epub ahead of print]
[PMID: 27319364]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。