2016.03.19 | ニュース

若いころの活動によって脳の変化が違う?アルツハイマー病の特徴を画像で観察

70歳以上393人の検査から

from Neurology

若いころの活動によって脳の変化が違う?アルツハイマー病の特徴を画像で観察の写真

アルツハイマー病では脳に特徴的な変化が起こりますが、その原因はわかっていません。「APOE4」という遺伝子の関与が知られているほか、生活習慣などの影響も考えられます。教育水準と中年期の知的活動による違いが研究されました。

◆393人を脳画像で調査

アルツハイマー病では脳の組織に特徴的な変化が起こります。アミロイドβという物質がたまることはそのひとつです。また、脳の活動量が低下します。

画像検査のPETでは、検査薬としてPIBまたはFDGという物質を使うことにより、脳にたまったアミロイドβの量を測る方法(PIB-PET)、脳が糖を消費して取り込む活動の量を測る方法(FDG-PET)が使えます(どちらもアルツハイマー病に対しては保険適用外)。

この研究は、対象者の脳をPIB-PETとFDG-PETで検査することで、アルツハイマー病に関係すると考えられる変化を観察しました。

対象者として、認知機能が正常または軽度認知障害の範囲内で、認知症には至っていない、70歳以上の人393人が集められました。

APOE4、教育水準、中年期の知的活動によって、検査結果に違いがあるかが検討されました。

 

◆教育水準が高い人、知的活動が多かった人で良い傾向

次の結果が得られました。

高教育層では、APOE4キャリアにおいて中年期の認知活動が高いことはアミロイド蓄積が少ないことと関連した。APOE4はコホート全体において、また教育水準が低い参加者においてFDG取り込み量が少ないことと関連したが、教育水準が高いコホートでは関連がなかった。

教育を受けた期間が14年未満の人のうちでは、APOE4遺伝子を持っている人で糖を取り込む活動が低くなっていました。14年以上の教育を受けた人では、APOE4遺伝子を持っていても、糖を取り込む活動に違いは見られませんでした

14年以上の教育を受けていて、APOE4遺伝子を持っている人のうちでは、中年期に知的活動が少なかった人よりも多かった人のほうが、アミロイドβの蓄積が少なくなっていました

 

教育やその後の知的活動が良い影響をもたらすと仮定すれば、この結果が説明できるかもしれません。

ただし、この結果だけではほかの可能性も考えられます。たとえば、調査時点でアミロイドβが多かった人は中年期からわずかに認知能力低下が始まっていたため、結果として中年期の知的活動が少なくなっていたと考えても研究の結果と一致します。

どの解釈が正しいかを見極めるにはさらに情報が必要ですが、こうした傾向が見られたことで、加齢に伴って脳に起こる変化の理解が進み、アルツハイマー病の効果的な対策に結び付くかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Effect of intellectual enrichment on AD biomarker trajectories: Longitudinal imaging study.

Neurology. 2016 Feb 24. [Epub ahead of print]

[PMID: 26911640]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る